REMINDERS PHOTOBOOK REVIEW #18 BIG SKY HUNTING

04/13/2015

今年の11月にRPS企画展「PATH IN BETWEEN（仮）」が急遽決定した木村肇くん（※写真展に関するご案内はまだ先になります。）。筆運びがいい感じになっている彼のレビューが続きます。
今回は特に写真集としては解読があったほうがより理解が深まるBIG SKY HUNTING、RPSでもお取り扱いしていますが、ただ見るだけでは何かすっきりしない写真集で誰かがここでわかりやすくレビューをしてくれないかと思っていた一冊でもあります。では、木村肇くんのレビューをお楽しみ下さい。

「ぼくたちはインターネットを通じて宇宙を知ったつもりでいる。でもそれは科学的根拠から導き出されたものの断片に過ぎない。科学者は人間だ。人間はミスもするし間違った解釈もする。」

曖昧な物事に対する依然として曖昧なままの解釈、同時に既知に対する固定概念から逃れることの難しさをこの本は証明してくれている様な気がする。

今日、僕たちが生活している場において程度の差こそあれ、ある共通の認識下で社会は動いている。スーツを纏ってビルの中で働いている人も山奥で日を焚きながら生活をしている人も、未知の物事に対する認識はそれほど変わらない。「宇宙」という言葉から連想される断片も恐らくこの範疇に属するものなのではなかろうか。

1957年にスプートニク１号が打ち上げられる遥か昔より、宇宙へのアプローチは文明によってなされている歴史がある。それは時間軸の上に於いてでさえも巨大で底の見えない、「黒く輝いているもの」に対する絶対的な深さという曖昧さを証明している。
3000年前にマヤ文明のエルカラコ天文台から見た宇宙と今日の宇宙がどれだけ違うのか、説明できる人がどれくらいいるのだろうか。

この本のページをめくるたびに思うことはそのような漠然とした範疇を逆手に取りながらも、見る人を視覚的に仮装の宇宙へと誘っていることにある。
それは冒頭で作者が触れている、人間のもつ認識の不思議さや幅広さであり、曖昧なものは曖昧のままで良いのだという、ひとつの結論の様な気がしてならない。

「虚と実、曖昧さと誤解を以って、私たちは宇宙というカオスへとあなた方をお連れします。」

抽象的なイメージの羅列から導き出させる依然として抽象的な何か。

それはまさしく僕たちが無意識に作り出している既知への警告であり、人それぞれに宇宙は存在していいという、ある種の許容なのではないだろうか。

木村肇（写真家）

1614231_790618604328771_8581199288769289283_o

BIG SKY HUNTINGのご注文はこちらから

◎BIG SKY HUNTINGのご注文はこちらから

※木村肇くんが講師を務めるRPS実験的ワークショップアトラスラボ第三回「THE BACK PAGE REVISITED」参加申し込み中です（◉応募締め切り：2015年5月31日（日）先着順となります。お早めに）！

これまでのフォトブックレビューはこちら

写真家による写真集レビュー, 写真集図書室, 写真集販売