REMINDERS PHOTOBOOK REVIEW #20 ILLUSTRATED PEOPLE
えらく久しぶりの写真家幸田大地君のブックレビューが届きました。取り上げるのはThomas MailaenderのIllustrated People
本そのものの面白さといっていいのか、写真がどうだとか、そういう種類の面白さというよりは、この本に出てくる写真を提供しているARCHIVE OF MODERN CONFLICTというところそのものの意味や、写真をアーカイブとして保存して、それをたまにこういう風に再度見直す行為というのは、色々な意味を含みながら重要なんだという事を感じさせると僕は思いました。
過去を振り返ること以上に今の自分たちの立ち位置の問題や、時代のパラダイムチェンジが進行している中で改めて色々な事を考える素材として、ある程度の恣意性を認めながら判断できるステージに人間というか、僕ら自身が立っているんだなという気がします。するかしないかは別として、求めればそれをするだけの蓄積が僕らにはあるということです。
権威・絶対性・価値基準・正統性・・・・というような一般的に価値と考えられていることや、世の中で当たり前に受け入れられていることが、排除したかもしれないもの、もしくは僕らが正しいと認識しているそのものが、どれだけ忌避しようとも抱えてしまっている文脈とか、そういうものがあるんだと感じさせます。
そして、写真も明白にこうしたネタばらしてきな時代性のなかでその洗礼を受けていて、時代のなかでこう言う写真集が出てくるのはやっぱり必然なんだろうと思います。
幸田大地(写真家)
これまでのフォトブックレビューはこちら
◎reminders photobook review #1 NUOTRAUKOS DOKUMENTAMS / PHOTOGRAPHS FOR DOCUMENTS レビュアー:後藤勝(RPS所長)
◎reminders photobook review #2 ASYLUM OF THE BIRDS レビュアー:幸田大地(写真家)
◎reminders photobook review #3 PIECES OF BERLIN 2009-2013 レビュアー:木村肇(写真家)
◎reminders photobook review #4 Blind Date レビュアー:八尋伸(写真家)
◎reminders photobook review #5 津軽/TSUGARU レビュアー:木村肇(写真家)
◎REMINDERS PHOTOBOOK REVIEW #6 FLOCK レビュアー:飯島望美(写真家)
◎REMINDERS PHOTOBOOK REVIEW #7 FIELD TRIP レビュアー:幸田大地(写真家)
◎reminders photobook review #8 Ponte City レビュアー:後藤勝(RPS所長)
◎reminders photobook review #9 19.06_26.08.1945 レビュアー:木村肇(写真家)
◎reminders photobook review #10 ANTIPERSONNEL レビュアー:八尋伸(写真家)
◎reminders photobook review #11 CHEWING GUM AND CHOCOLATE レビュアー:木村肇(写真家)
◎reminders photobook review #12 EVIDENCE レビュアー:幸田大地(写真家)
◎reminders photobook review #13 IN THE SHADOW OF THE PYRAMIDS レビュアー:木村肇(写真家)
◎reminders photobook review #14 I AM ABOUT TO CALL IT A DAY レビュアー:幸田大地(写真家)
◎reminders photobook review #15 UNNAMED ROAD レビュアー:木村肇(写真家)
◎reminders photobook review #16 LIFE IS ELSEWHERE レビュアー:松村和彦(写真家)
◎reminders photobook review #17 50 HOURS レビュアー:飯島望美(写真家)
◎reminders photobook review #18 BIG SKY HUNTING レビュアー:木村肇(写真家)
◎reminders photobook review #19 THE WINNERS レビュアー:木村肇(写真家)