REMINDERS PHOTOBOOK REVIEW #19 THE WINNERS

05/27/2015

サイトがようやく復旧しましたので、滞っていたブックレビューをようやくアップいたします。今年の11月にRPS企画展「PATH IN BETWEEN（仮）」およびアトラスラボワークショップの実施を予定している木村肇くん（※写真展に関するご案内はまだ先になります。）。彼が今回取り上げているのは、初版本が発売前に売り切れてしまった様な幻の写真集RAFAL MILACHのTHE WINNERS。
Thewinners02

市井の人々。
世の中は大部分がそう呼ばれる人達によって構成されながら、緻密な歯車の様に、あるいは懇懇と流れる大河のように社会と言われるものを作り出している。
その概念は同時に、それと対局にいる誰かの存在を無矛盾的に炙り出しているという事、市井の人々の中で対局の世界に行きたいと願う者を必ず存在させてしまう事、そして良くも悪くも、そういった人達を加速度的にある地点へ到達させてしまう可能性を孕んでいるという事、が考えられるのではないだろうか。
勝者、という言葉の中に同時に起こりうるもの。それはまさしく、今日僕らが無意識に手にしようとしているもの、そして見えない社会の隙間から僕たちが追われるように逃れているものに他ならない。
それは況や僕たち自身が作り出してしまった幻想のなかで無意識に喜怒哀楽を刷り込まれながら演じている人生そのものとも置き換えられる。
大学生も、ドッグトレーナーも、ダンサーも、溶接工も、警察も、軍隊も、一様に何者かになりたいと願う者はこれからも存在するのであろう。無意識に模られた一連の勝者像、その後に訪れるであろう分かれ道を目指して、彼らは歩を進めるのである。

彼らが勝者である道を選んだ日。
三権分立を敷くヨーロッパ最後の独裁国家は2004年5月1日にひとりの社会活動家を投獄した。

木村肇（写真家）

Thewinners01