長谷川美祈 アーティストブック「YOU AND ME everyday everywhere everytime」販売を終了しました!

好評に付き、販売を終了しました。
長谷川美祈 アーティストブック「YOU AND ME everyday everywhere everytime」オンライン受付を再開しました。残りエディションは1冊のみとなりました。ご希望の方はお早めにご注文ください。

長谷川はこれまで、2015年のPHOTOBOOK AS OBJECTにて「The Path Of Million Pens」を、2017年にはPhotobook Master Classにて「Internal Notebook」を制作。
本作「YOU AND ME everyday everywhere everytime」は、RPSの後藤由美によるメンターシッププログラムを通して取り組んだ作品となります。同居していた義母が闘病の末他界したことから、長谷川は心に残る後悔や喪失感を抱え、家族の死をどう記憶し受け止めていくのか考えるようになりました。
本作では義母のアルバムを通してその人生を辿りながら、大切な人の死について考察していきます。

Reminders Photography Strongholdでは本作に関連する展示、長谷川美祈 写真展『YOU AND ME everyday everywhere everytime』を開催いたします。会期は6月12日から27日まで。展示会期中は作家が在廊し、会場での写真集制作作業も進めていきます。
ぜひお越しください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「YOU AND ME everyday everywhere everytime」

「死」が目に見える形で想像できるようになるまで、いつも通りの生活をすることが、家族皆にとっても良いことだと思っていた。

義母は2016年9月に胆管癌を患い、手術、抗癌剤治療を受けたが、1年後の2017年9月に再発。もう手術はできず、最適な治療も見つからなかった。
それでも、様子はいつもと変わりなくジムに行き家事をし精力的だった。

自宅療養を主治医から告げられてから、義母の状態はあっという間に悪化していった。朝、昼、晩と大量の薬。訪問医、訪問看護の手配、レンタルの介護ベッドを1階に置き、数日で車椅子が必要になり、少し経つと、ポータブルトイレを設置しなければならなくなった。そしてとろみをつけた飲み物、食べ物以外は受け付けなくなった。

慣れない介護で家族全員が疲弊していった。
「家族が休む為にも1週間だけホスピスに入ってみたらどうか?」
訪問医から提案があったその数日後には、
「ホスピスへ急いだ方がいいかもしれない。あと1週間が山場だ」
と告げられた。

ホスピスへ向かう介護タクシーの中で、いつも気丈だった義母が
「こわい」と私の手を握った。
到着すると、医師から電動ポンプでモルヒネ投与の提案がされた。
「どう思う?」
と聞かれたが、私は答えられなかった。
翌日「痛みがひどいなら、やった方がいいのでは?」と答えた。
義母はモルヒネの投与を了承した。

間もなく意思の疎通ができなくなった。
「飛行機が・・・」
と、うわ言を一度言ったきり声を聞くことはなくなった。

毎日、娘の下校時に迎えに行き、一緒にホスピスへ通った。
せまりくる死の気配に息が詰まりそうになると、娘を連れて病室の外を歩き回った。ホスピスは手入れのされた木々や花で囲まれていた。
死を迎える場で、植物や生き物が今を生きていた。
病室横のラウンジでは、きっと義母が気に入るだろう美しい時計が、時間を刻んでいた。

それから1週間後の2018年6月27日、義母は息を引き取った。

その後、義父は、診断書の整理をしながら「なぜもっと早く癌に気付かなかったのか」と義母の話をすれば泣き、怒った。
何度かホスピスの看護師に会いに行っていたようだ。家族ではない義母の最期を知る人と話をしたかったのではないかと思う。
夫は、自身の母の病気も死も受け入れていないように見えた。
娘は涙を見せることはなかった。

半年ほど経った頃、義父が写真の整理をし始めた。階段下の納戸から段ボール箱に詰め込まれた古いアルバムがいくつも出てきた。
アルバムをめくりながら言った。
「拝み倒して、結婚してもらったんだ」

私も義母の人生をアルバムから辿ってみた。
恋人になり始めた頃の2人の写真に
「YOU AND ME everyday everywhere everytime」と義父が手書きで添えているのを見つけた。

いつ何時もどこにいても一緒だったはずの「あなた」はもういない。
ソファに座る2つの後ろ姿は1つになり、階下からかつて聞こえていた2人の声は、一日中響くテレビの音に変わった。
ふとキッチンを見ると、義母が育てていた蘭が花をつけていた。

長谷川美祈 アーティストブック「YOU AND ME everyday everywhere everytime」※販売を終了しました。
◎本文:264ページ
◎言語:日本語または英語
◎サイズ:170mm x208 mm x 38mm
◎部数:68部
◎写真・編集・印刷・製本: 長谷川美祈
コンセプト・アートディレクション:後藤由美(リマインダーズフォトグラフィーストロングホールド)
◎アーカイブ資料提供:長谷川典子・長谷川憲三・長谷川知弘・長谷川知優
◎価格:13,200円(消費税込、別途送料についてはこちらをご確認下さい、宅配便でのお届けとなります。)
全エディション署名入り
*表紙の写真は、68部全て違います。
選択はできませんので、お手元に届くまで楽しみにしてください。

ご注文を頂き、お振込の確認が出来次第発送させて頂きます。
写真展開始時にご用意する一定部数を超えますと受注制作に入り暫くお待いただく場合がございます。
あらかじめご了承ください。

ご希望の方は、ご注文時のメール件名に必ず、「YOU AND ME everyday everywhere everytime」注文希望とお書き下さい。
①お名前(フリガナ※銀行振り込み人名義が異なる場合は必ずその旨を明記してください)
②住所(必ず〒番号を入れて下さい)
③電話番号
④Eメールアドレス
⑤ご希望部数
⑥希望言語(日本語または英語)
⑦ギャラリーで受け取りを希望の方はお知らせ下さい。とくにない場合は発送扱いとさせて頂きます。
ご注文はmiki.hasegawa@reminders-project.orgで受け付けます。
⑧領収書が必要な場合は、宛名、但し書きのご指示をお願いします。

 

長谷川美祈写真集「YOU AND ME everyday everywhere everytime」見開きページより

©︎Miki Hasegawa / YOU AND ME everyday everywhere everytime

©︎Miki Hasegawa / YOU AND ME everyday everywhere everytime

©︎Miki Hasegawa / YOU AND ME everyday everywhere everytime

©︎Miki Hasegawa / YOU AND ME everyday everywhere everytime

©︎Miki Hasegawa / YOU AND ME everyday everywhere everytime

©︎Miki Hasegawa / YOU AND ME everyday everywhere everytime

©︎Miki Hasegawa / YOU AND ME everyday everywhere everytime

©︎Miki Hasegawa / YOU AND ME everyday everywhere everytime

©︎Miki Hasegawa / YOU AND ME everyday everywhere everytime

©︎Miki Hasegawa / YOU AND ME everyday everywhere everytime

©︎Miki Hasegawa / YOU AND ME everyday everywhere everytime

©︎Miki Hasegawa / YOU AND ME everyday everywhere everytime

©︎Miki Hasegawa / YOU AND ME everyday everywhere everytime

©︎Miki Hasegawa / YOU AND ME everyday everywhere everytime

©︎Miki Hasegawa / YOU AND ME everyday everywhere everytime

©︎Miki Hasegawa / YOU AND ME everyday everywhere everytime

©︎Miki Hasegawa / YOU AND ME everyday everywhere everytime