渡部周「THE LAST SUMMIT」:マガリ・ドゥザントによる写真集レビュー

2018年3月にRPSで開催された実験的ワークショップアトラスラボ「AKINA BOOKSワークショップ:静と動~映画的な編集とダミーブック~」の参加者で、2021年7月には写真集刊行と写真展「THE LAST SUMMIT」をRPSで行った渡部周。

写真集『THE LAST SUMMIT』が現代写真のオンラインマガジン「LensCulture」による「Favorite Photobooks of 2021(2021年のお気に入りの写真集)」にて、マガリ・ドゥザント氏により選出されました。その書評をここで紹介させていただきます。

今年、私の心に残ったのは、日本のアーティストでありデザイナーでもある渡部周の『THE LAST SUMMIT』だ。

この本は、登山中の事故で亡くなった父親と向き合う作家の姿を追ったものである。

渡部は、家族の写真、ソラライズプリント、レントゲン写真、日記のページ、そして最終的には父親が最後に登った山に登ることで、悲しみ、怒り、恨み、嘆きといった彼の相反する感情を探求している。

写真のスタイルと、彼の身体的な旅の展開と同時に、様々なものが混ざり合い、コンセプト、フォーム、コンテンツがシームレスに融合した本が出来上がった。

角度をつけたページの構成は、渡部が「読者が山道を登るスリルを味わうことができる」と言うように、山道を登っているような感覚を与える。

見開きの背後には本のコーナーが現れ、まるで常に山が地平線上にあるかのようだ。

『The Last Summit』は、父へのオマージュであると同時に、本作りの創造的な可能性をも感じさせるゴージャスな一冊だ。

– マガリ・ドゥザント〈アーティスト/ライター〉

【LensCulture Favorite Photobooks of 2021とは?】
キュレーター、アーティスト、編集者、その他、写真の専門家39名が、2021年に出版された写真集の中から、特にお薦めの本を紹介している。
https://www.lensculture.com/articles/lensculture-editors-favorite-photobooks-of-2021

“THE LAST SUMMIT” Shu Watanabe’s Artistbook|渡部周写真集『THE LAST SUMMIT』 from shuwatanabe on Vimeo.


【写真集「THE LAST SUMMIT」の作家 渡部周より選出後のコメント】

選出していただき大変光栄です。

制作にあたり私が行ったリサーチから、写真素材がどのようにストーリー構成に反映されているかを丁寧に感じ取ってくださっています。

特に、本書の大きな特徴である、斜めに角度をつけたブックデザインについても、その心理的な効果を見事に読み解いて、読者に分かりやすい言葉で表現していただいたことを非常にうれしく思います。

-渡部 周

写真集『THE LAST SUMMIT』は現在も販売中です。
興味を持たれた方は以下のURLより本の詳細をご覧下さい。

https://reminders-project.org/rps/thelastsummit_salejp/

渡部周 写真集「THE LAST SUMMIT」

・本文:204ページ
・言語:日本語または英語
・サイズ:215 x 312 x 24mm
・部数:69部
・写真・編集・印刷・製本: 渡部周
・コンセプト、ストーリーライン、アートディレクション:後藤由美(リマインダーズフォトグラフィーストロングホールド)
・英文校正:高木祥衣、Marc Kaufman
・写真提供:川島克巳、川島祐子、佐藤朝記、深田和夫、山岡瑞子、渡部紀久
・価格:15,400円(消費税込、別途送料についてはこちらをご確認下さい)、 全エディション署名入り

©︎Shu Watanabe / THE LAST SUMMIT

©︎Shu Watanabe / THE LAST SUMMIT

©︎Shu Watanabe / THE LAST SUMMIT

©︎Shu Watanabe / THE LAST SUMMIT

©︎Shu Watanabe / THE LAST SUMMIT

©︎Shu Watanabe / THE LAST SUMMIT

©︎Shu Watanabe / THE LAST SUMMIT

©︎Shu Watanabe / THE LAST SUMMIT