クリス・コーキン写真集「THE HITCHER」「THE ALTOGETHER」販売中!署名入り

クリス・コーキン写真集販売中
※写真展は11/9まで、みなさまのお越しをお待ちしています。

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1. THE HITCHER
◎4,500円(署名入り)
送料300円

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2. ALTOGETHER (7インチシングル付き)
◎3,500円(署名入り)
送料300円

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この旅は道路脇のヒッチャーで始まる。車が停まり、初めての出会いがあり、そして高速道路を運転中の会話へと続く。「どうして僕を拾ってくれたの?」ヒッチャーはドライバーに尋ねる。1999年の初めてのヒッチハイキング以来15年間クリス・コーキンが答えを探し続けた一方で、 この質問は私にとって彼の作品を読み解くための出発点である。
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彼を取り巻く世界、社会構造に包囲された世界、規則、システム、因習に閉じ込められた世界を理解したいという欲望に動かされたコーキンは、大変鋭い観察者だ。彼は世界の中の自身の場所に疑問を投げかけるが、この世界というのはつまりイギリスのことだ。私達のほとんどは社会を動かすシステムを当然の事と受け止めている。しかし、実際のリアリティというものが理論の中のリアリティよりはるかに複雑であることを証明するため、コーキンは自らこのシステムを試そうとする。これはイデオロギー、つまり支配、服従、規定された日常習慣からの離脱に関してのことだ。
彼のやり方は入念な(視覚的、聴覚的、図式的な)記録を作ることだ。彼の作品には、我々の生きる時代や社会に対する多層的で込み入った考えを創造する音、文章、イメージの間の交差に対する優れた理解を提示している。教えられるよりも経験を通して彼を囲む環境を理解するために、あらゆることを試そうとする子供のような、生来の好奇心をコーキンは持っている。彼の作品を読み込んでいくと、彼の周りの世界の有り様に彼が完全に満足していないのが分かるだろう。彼は、我々の多くがわざわざ尋ねたりしない 、あるいは命令的に「とにかくそういうことさ」と答えてしまうような 、真の「なぜ?」尋ねたい、証明したい、経験したいという欲求に常に取り憑かれている。

「どうして僕を拾ってくれたの?」コーキンの旅のスクラップブックには、その答えが記されている。「君が賢そうに見えたからさ。きっと楽しく話ができると思ったし、やはりその通りだったよ!」私はこの答えを読み、コーキンに対する自身の見解を強めた。彼のアプローチは主に人々を作品の中心に据えるが、しかし、「ザ・ヒッチャー」の共同作業的な特徴のため、観察者もまた観察される対象になる。ポール・ファーレイとマイケル・シモンズ・ロバーツは彼らの著書「エッジランズ:イギリスの真の荒野への旅」(我々の言う荒野が何を意味するか、そして都市化された風景とその特異性によって野生の空間がいかに侵害されているかについての評論)の中で、このプロジェクトについてこのように言及している。 「このプロジェクトはある種の旅行記、ドキュメンタリーの要素の素描、肖像、そして静物であり、コーキンが彼自身のロードムービーの中心にいる。」これはただ周辺を個人として眺めているだけではなく、代わりとなる視点を考察することによって、世界を理解しようというコーキンの試みである。

人々と彼らが属するコミュニティへの興味は、コーキンを発見の旅へと連れ出した。「ノック・スリー・タイムズ」の労働者クラブには、彼がまず興味を示したイギリスの中核を成す労働者階級のルーツへの彼自身の尽きない興味が見て取れる。「オルトゥギャザー」や「マニュファクトリー パート1、パート2」などのプロジェクトには、労働者と産業の表現に対する誠実なアプローチがある。「ノック・スリー・タイムズ」にデーヴィッド・カンパニーが寄せたテキストでは、コーキンの作品の性質を更に掘り下げている。「コーキンにとって写真を撮るということは、なぜ物事がそのような状態にあるのかを回復しまた発見するために、時間を遡ったり、先に進んだりすることだ。脅威にさらされている物事に寄り添う事によって、彼の写真は存在のはかなさを理解することができるのだ。」
コーキンの世界、特に産業の町で育ち、若いうちから工場や労働者クラブを訪れていた彼が、自身の家族に対して感じる親密さを理解するための鍵である。彼の作品は失われつつあるように見える世界への洞察力を呈しつつ、またそれはそのような世界の証明でもある。
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あと二、三十年もすれば、イギリスを形成する社会構造やコミュニティは大きく変化することだろう。古いものや伝統は、新しく効率的なものに取って代わられるであろう。コーキンのプロジェクトは、置き換えては忘れ去るという無慈悲なシステムに対する抵抗である。「オルトゥギャザー」は、記憶、歴史、価値を求めるものであり、コーキンと協力的な工場労働者グループとのクリエイティブなコラボレーションによって実現された。イギリスの産業界の過去の栄光に関するシーンを再構築するというやり方で、労働者たちはコーキンが失われたように見える過去へとつながる糸をたどるのを可能にする。ポージングや構成は、一度も真の芸術作品とは認識されないまま、正統な美術史から静かに排除されてしまった労働組合旗から取られている。

ロドリゴ・オランティアの文章より抜粋
翻訳:奥山美由紀

クリス・コーキン「CHEWING THE CUD」写真展10月25日から開催中!写真新聞もあわせてご検討下さい。
https://reminders-project.org/rps/chewingthecudnewsprintsalejp/