松村和彦写真展「ぐるぐる~My Transmigration~」

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2016年度RPS企画展第3弾は、松村和彦写真展「ぐるぐる~My Transmigration~」を開催いたします。松村は子どもの誕生をきっかけに自身が子どもの時に感じていた命の頼りなさ、死ぬことへの漠然とした恐怖を思い出しました。また、昨年祖母を亡くしたことから命の巡りを実感。そうした感覚の視覚化に取り組みました。本作はRPSの後藤由美によるメンターシップで基本的な構想を練りました。さらに、昨年12月にRPSが開催し、オランダのブックデザイナー、トゥーン・ファン・デル・ハイデンとサンドラ・ファン・デル・ドゥーレンが講師を務めたPhoto Book Master Classで写真集の編集やデザインなどを高めました。この度、自作本48部の出版と合わせ、本展を開催いたします。

会期 2016年6月4日(土) 〜 6月26日(日) 午後1時 〜 7時 (会期中無休)
オープニングレセプション・アーティストトーク
2016年6月4日(土) 午後4時 (※オープニングの6/4のみ写真展は午後4時からご覧いただけます)
会場 Reminders Photography Stronghold 東京都墨田区東向島2-38-5
※半蔵門線(曳舟駅)、浅草線(京成曳舟駅)のいずれでもお越しいただけます。アクセスマップはこちら→https://reminders-project.org/rps/map/
入場料 無料
展示までの準備の様子はFacebookページで是非チェックしてみてください。

▼自作本『ぐるぐる~My Transmigration~』
限定48部(エディション、署名入り)
本体124頁、小冊子16頁、写真71点収録、285×205×20mm
小冊子の文章は日英どちらかお選びいただけます
価格:15,000円(ギャラリーでお買い上げの場合は送料無料。発送の場合は500円)
ご注文は専用ウェブサイトからお願い致します。6月4日の写真集刊行に合わせ、発送いたします。
5月より下記にて予約開始
https://reminders-project.org/rps/gurugurusalejp

「随分とナイーブな風になったなぁ」。2年近く準備を続けてきた写真展と本の出版を控えた今、思う。もちろん、まぎれもなく僕の内面の大切な一部だけれども。
 こんなことを思い出す。ショッピングセンターでマジシャンのショーに出くわした。とてもナルシストっぽい感じで、変な人だなと思った。でも、ショーが始まるとだんだん観客は引き込まれていった。まずバルーンアートの技術がすごかった。けれども何よりも魅力だったのは最初違和感を持った強い個性だった。格好付けたポーズの度にバルーンが次々と形を変えていく。マジシャンの内面がショーという世界になって目の前に立ち現れていた。
 自分がやっていることも同じだなと思う。個人の内面は時に独り善がりだし、そのままでは見ていられないこともあるだろう。だから、洗練させる。大事なことを伝えるために徹底的に魅力を高める。
 写真集作りのワークショップや製本教室に通った。写真編集を何度も繰り返した。さらに、ストーリーの暗喩となる魅力的な装丁を目指し、工夫を重ねた。最初から最後まで手間の連続だったけれども、世界はそうやって作られていくとわかった。
 出来上がってみて、時を閉じ込めることができる写真集は、僕が恐れた「時が移ろうはかなさ」へのささやかな抵抗だったような気がしている。人は亡くなれば存在も記憶も少しずつだが薄れていく。けれども、本はそれらを未来に残せる。
 展示については、このささやかな夢がかなったという設定で組み立てた。年老いた息子が暮らす部屋。古いいすの前には一冊の写真集が置いてある。そして、写真集を見た息子の頭の中を会場に再現した。
 さて、僕のナイーブな世界はあのマジシャンのように人を楽しませるまで高まっただろうか。展示や本を見ていただき、皆さんに伝わればなおうれしい。

松村和彦(写真家)

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