第5回「写真家と写真集をレビューする日:ディビッド・チャンセラー」3月30日開催!
写真集に関するイベント「PHOTOBOOK REVIEW WITH THE AUTHOR(写真家と写真集をレビューする日)」の第5回目の写真家はディビッド・チャンセラー。南アフリカからスカイプセッションで参加してくれます。今回取り上げるのはHunters(狩人)、このシリーズで、今年度のPOYiのWorld Understanding Awardを受賞したばかり、どんなお話しが飛び出すか、会場のセッションに参加した方のみが得られる貴重なお話しが聞けるはずです。是非、お誘い合わせの上、ご参加下さい。
Hunters
テキスト:ビル・コーエンホーヴェン
ジョージ・オーウェルによるエッセイ『象を撃つ』を同時掲載
20世紀初頭、東アフリカでの狩猟は、特にイギリスやアメリカの特権階級の間で流行の娯楽であった。1901年のウガンダ鉄道の完成により、イギリス領東アフリカ(現在のケニヤ)内部の高地へ行くことが容易になったのだが、そこには様々な獲物、特に象やライオン、バッファロー、サイが多く生息していた。白人のハンターは、外からやって来るそれらの顧客たちに、ガイドや先生、或は援護者として雇われたのである。
ケニヤでは20世紀の早い段階で、旅行者による戦利品を競い合うための狩猟産業が実際に始まり、ヨーロッパやアメリカからやって来た金持ちの旅行者が、その土地に移住した農夫たちにお金を渡して、狩猟の案内をさせた。似たような観光としての狩猟産業は、アフリカの別の場所でもすぐに始まることとなる。現在は南アフリカが、最大の狩猟産業国だ。ジンバブエやボツワナ、ナミビアでも狩猟産業は盛んで、また、ザンビアやモザンビーク、スワジランドもそれに次いでいる。伝統的な畜産を辞めて、狩猟の為の獲物の飼育を行う牧場が大きく増えたことが、ここ最近の南アフリカでの狩猟産業の成長に起因しているのだが、それらは干ばつと不況に大打撃を受けてしまっている。
写真集『狩人』は人間と動物の間に、お互いに変化する環境に順応しようと苦しんでいるその両者、狩る者と狩られる者の間にある複雑な関係性を探る作品である。
ディビッド・チャンセラーはロンドンに生まれ、南アフリカを拠点に活動。作品は多岐に渡るが、ドキュメンタリー的ルポタージュという称され方が最も的を射ているだろう。主要なギャラリーや美術館での、数多くのグループ展、またはソロの展示に参加しており、彼の写真は世界中で出版されている。ニコン・フォトグラファー・オブ・ザイヤーを三度受賞し、ハンターシリーズより、『象の話』では2010年ワールド・プレス・フォト・アワードを受賞。妻と息子の習作は2009年にロンドンナショナル・ポートレイトギャラリーで展示され、その翌年にハンターシリーズより、『牡鹿と女性狩猟家』でテイラー・ウエッシング・ポートレイトプライズを受賞。2011年には、第五回フォト・グラフィー・マスターカップにノミネートされ、ソニー・ワールド・フォトグラフィー・オーガニゼーションアワード、フリーダム・トゥー・クリエイトプライズの候補にも名前が挙がった。
http://www.davidchancellor.com/
ビル・コーエンホーヴェン(ボルチモア出身1961年生まれ)はインディペンデントキュレーターであり、ロンドンをベーストしたホットシューマガジンのインターナショナル編集者。ヨーロピアンフォトグラフィーやブリティッシュジャーナルオブフォトグラフィー、アパーチュアなどの写真ジャーナルへの寄稿も数多い。著書に『Nuevas Historias:スペインの現代写真』(2008年)、『重慶—野心の街』(2010年、ディアナ・エドキンスと共著)など多数。ベルリンとニューヨークを拠点に活動。
本はSchilt Publishingを通して購入出来ます。
文章翻訳:川上紀子
日時:2013年3月30日(土)午後4時から
会場:reminders photography stronghold
参加費:500円(定員20名程度、RPSメンバー会員は無料)
司会:STRONGHOLD GALLERYキュレーター・後藤由美
ゲスト写真家:ディビッド・チャンセラー(南アフリカよりスカイプ中継で参加)
※日英同時通訳あり、英語が苦手な方もお気軽にご参加下さい。
「写真家と写真集をレビューする日」アーカイブ
第四回:ジェレミー・スティグテー
第三回:マーク・アスニン
第二回: ヴォルフガング・ベルウィンケル
第一回: レナ・エフェンディ