8月22日午後7時から「長期プロジェクトに取り組む作家」によるクロストーク
現在Reminders Photography Strongholdでは藤井ヨシカツ写真展「Hiroshima Graph -Everlasting Flow-」を開催しております。本展に関連するイベントとして8月22日(土)午後7時より「長期プロジェクトに取り組む作家」をテーマにクロストークを配信する運びとなりました。
当日ご登壇いただく作家は木村肇さん、千賀健史さん、林田真季さん、藤井ヨシカツさん計4名です。
当日ご登壇いただく作家は木村肇さん、千賀健史さん、林田真季さん、藤井ヨシカツさん計4名です。
いずれの作家も現在進行形でプロジェクトに取り組んでおり、今後の発展が期待される方達です。
これまでにどのようなプロセスを踏んでプロジェクトを進めてきたか、そしてこれからどのように進めていくのか。各々のプロジェクトの概要紹介も兼ねながら、お話いただきます。
是非ご期待ください。
是非ご期待ください。
「長期プロジェクトに取り組む作家」によるクロストーク
日時:2020年8月22日(土)午後7時から
形式:facebookページにてオンライン・アーティストトークを配信
登壇者:木村肇、千賀健史、林田真季、藤井ヨシカツ(以上写真家)、後藤由美(RPSキュレーター)
【各作家のプロジェクトとプロフィール】
◎木村肇 / 青い鳥の止まり木
現在取り組んでいるプロジェクトは東京大空襲時に被爆した、「戦災樹木」と呼ばれる木についての考察を実験等を含めて進めています。1945年3月10日の深夜から未明にかけて行われた、わずか4時間足らずの空襲は10万人の死者をもたらす結果となりました。戦後75年を迎え、当時を知る空襲経験者が減っていく中、ひっそりと街に佇む戦災樹木の存在は殆ど知られていません。今回は戦災樹木自体の生体や、樹木が存在する周りの環境、具体的には空爆を受けた場所と空襲経験者、そしてそれらに纏わる空襲のエピソードを絡めたプロジェクトとして全体像を模索しています。
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プロフィール
1982年、千葉県生まれ。 2006年よりフリーランスとして活動。2016年から18年まで文化庁海外研修員、ポーラ財団海外研修員として ドイツとセルビアでプロジェクトを制作。2019年10月に写真集「Snowflakes Dog Man」がイタリアのCEIBA editionsより、2020年4月に91部の手製写真集「MIŠO BUKUMIROVIĆ」がReminders Photography Strongholdより刊行された。タイム、ニューズウィーク、ルモンド等にも写真を寄稿している。
https://www.hajimekimura.net
◎千賀健史 / OS
電話特殊詐欺、特にオレオレ詐欺と呼ばれる詐欺についてのプロジェクトです。加害者(若者)と被害者(高齢者)、そして社会の関係・役割・私との接点を詐欺という犯罪を中心にそれぞれの視点で視覚化しています。リサーチを進める中で見えてきた社会的な弱者対弱者の構図は、弱者とは一体何者かそれを捕食しているのは誰かを考えさせられました。
大量に溢れる情報の中で私達は余計な情報には目を伏せて、必要なタグ付けを済ませた後はそれ以上考えることをやめるように習慣付けられています。
繰り返される”かわいそう”と”殺せ”の後にやってくる最悪の時代がすぐそこに迫った現代を嘘と本当の間で表現しています。
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プロフィール
1982年、滋賀県生まれ。大阪大学基礎工学部卒業。
卒業後ファッションフォトグラファーのアシスタントとして上京。
その後様々なワークショップを通じてビジュアルストーリーテリングとしてのドキュメンタリー作品制作に取り組む。
作品は主にリサーチをベースとし、身近なテーマから社会問題へと暗喩的なイメージを用いて制作されている。純粋な記録だけによるのではなく、問題が抱える複雑さを表現するために時に演出を加えることや架空の物語を使うことから、飯沢耕太郎氏によりニューフォトジャーナリズムの旗手と評される。
近年では手製によるダミーブック、及び少部数の自費出版も行っており、作品は主に海外のダミーブックアワードにおいて評価されている。
◎林田真季
「大量廃棄」を大きなテーマに、3つのプロジェクトに取り組んでいます。
一つめは、「日本各地の産業廃棄物の不法投棄」についてです。前作で取り組んだ香川・豊島の事件をきっかけに、日本のあらゆる地域で同じような産廃不法投棄がたくさんあることに気付きました。それらをカタログ的にまとめたいと考えています。
二つめは、「東京のごみ埋立処分場」についてです。日本各地で産廃不法投棄が起こった背景は東京のごみ問題にあり、それは江戸時代からのごみ埋立処分場の歴史に大きく起因すると分かりました。その歴史を表現したいと思っています。
三つめは、「消費者意識」についてです。前者2つが過去を振り返るプロジェクトに対し、現在のことを取り上げるプロジェクトとして試行錯誤中です。年10億着が新品のまま廃棄されるというファッション産業をフックに表現したいと進めています。
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プロフィール
1984年、兵庫県生まれ。関西学院大学総合政策学部卒業。2014年Reminders Photography Stronghold主催の写真集制作ワークショップで手がけた手製写真集「JAPAN-GO-ROUND」が海外からの評価を受け、本格的な写真活動を始める。コニカミノルタフォト・プレミオ2016入選。Singapore International Photography Fesitival 2016、FORMAT International Photorgraphy Festival2019(イギリス)などでの展示のほか、様々なダミーブックアワードのショートリストに選ばれている。2019年1月より、まちの写真館プロジェクト「清澄白河写真室」を営む。
◎藤井ヨシカツ / Hiroshima Graph -Everlasting Flow
2015年に故郷である広島に拠点を移し、被曝3世としての視点から、誰も知ることのなかった歴史の証言や広島に生きてきた人々の軌跡、風化していく戦争の爪痕にあらためて眼を向け、後世へと伝えていく取り組みとして「Hiroshima Graph」シリーズを制作してきました。
毒ガス製造の歴史を持つ大久野島を題材とした「Rabbits abandon their children」に続くシリーズ2作目となる本作は、広島の被爆の歴史を起点とし、原爆が投下された場所を撮影した写真やアーカイブイメージと祖母の個人的経験を結びつけることで、どのように個人がトラウマとなる記憶を隠し、どのようにそのトラウマが次世代へと受け継がれていくのかを探っています。
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プロフィール
広島県出身。東京造形大学で映像を学んだのち、2006年より写真制作を開始。社会問題に纏わる歴史や記憶を主なテーマとして制作に取り組んでいる。作品はこれまでにフェニックス美術館(アメリカ)、デリー・フォトフェスティバル(インド)、ゲッティ・イメージズギャラリー(ロンドン、イギリス)、チョビメラ国際フォトフェスティバル(バングラデシュ)、ジメイ・アルル国際フォトフェスティバル(厦門、中国)、ブレダ・フォトフェスティバル(ブレダ、オランダ)、PHOTO 2020(メルボルン、オーストラリア)などで展示された。
離婚した両親と自身との関係をテーマにした作品「Red String」は、2014年に少部数限定の手製本による写真集として発表された。同書はパリフォト・アパチャー財団写真集賞などにノミネートされたほか、米タイム誌をはじめとする2014年のベスト写真集の一冊に選出されるなど注目を集めた。
写真集「Red String」「Hiroshima Graph – Rabbits abandon their children」はともにニューヨーク近代美術館(MoMA)図書館に収蔵されている。