佐藤文則 写真展「ろっこく」9/2~9/10まで

©︎Fuminori Sato / Rokkoku

2023年度9月の企画展として写真展「ろっこく」を開催いたします。
佐藤は2018年に開催された写真集制作ワークショップ「Photobook Master Class Workshop」に参加し、本作品の制作に取り組んできました。
2011年3月11日に発生した東日本大震災から約2年後、佐藤は福島第一原子力発電所の事故によって、原則立ち入りが禁止された福島県浪江町津島地区を訪れた。ゴーストタウンのように眠る山間の集落。そこで、見たのは高濃度の放射生物物質に汚染された森や無人の家屋だけではなかった。同伴した一時帰宅者の家は、勝手口を打ち破って侵入した野生動物によって無惨な姿に変わり果てていた。それでも、避難前の生活がそのまま残されていた。1時48分46秒で止まった柱時計、「笑」と書いた子供の習字、シベリアに抑留されたことを記した日本政府からの「慰労状」…… 家には家族3代の歴史が刻まれていた。さらに集落を廻ると、古民家の戸口には家人が戦士したことを示す「戦没遺族の家」の札、命からがら満州から引き揚げてきた開拓民たちがここで再入植したことを記念する「開拓記念の碑」などがあった。荒地を開墾し、やっと安住の地を見つけた彼らのなかには、原発事故で再び避難民の苦渋を味わっている人たちもいる。過去に国策による「戦争」で、そして今は国策による「原発」に翻弄される津島の人びと。まるで過去と現在が交錯しながら、時を超えて同時に存在しているかのように思えた。写真展は、津島で覚えたその不思議な感覚をヒントに撮影した写真で構成されています。
また本展開催に合わせて、写真集「ろっこく」を刊行いたします。写真集の詳細、ご予約はこちらをご確認ください。
写真展の詳細はFacebook等で随時お知らせいたしますので、ぜひご期待ください。
皆様のご来場、ご高覧をお待ちしております。


「ろっこく」
「ろっこく」とは、国道6号の通称である。ある日、津島を含め、これまでに訪れた被災地を地図で確認すると、それらの多くが東京からの一本の道で繋がっていることに気がついた。国道6号である。東京都日本橋から千葉県、茨城県、福島県を経て、宮城県仙台市に至る。津島で覚えた過去と現在が交錯しながら、時を超えて同時に存在しているかのような不思議な感覚をガイドに、首都東京から津島に向かって国道6号を走り始めた。
道中、さまざまな人たちとの出会いがあった。関東大震災の記憶に病む在日朝鮮人、東京大空襲で家族5人を失った少女、特攻隊に選抜された青年、武装開拓民として満州に渡った少年、長期勾留を余儀なくされた難民申請者、原発推進の標語を考えた小学生、巨大防潮堤の建設に抗う津波被災者……
「ろっこく」は単なる道ではない。私たちの過去を刻み、私たちの現在を写し、私たちの未来を暗示しているかもしれない。
佐藤文則


佐藤文則 写真展「ろっこく」
◎会期:2023年09月02日(土)〜10日(日)13:00~19:00 会期中無休、入場無料
◎オープニングレセプションおよびアーティストトーク
2023年9月2日(土)午後6時頃~
※会期中の営業時間に変更が生じる可能性があります、その場合はSNS等で告知していきます。
◎開催場所:Reminders Photography Stronghold Gallery
住所:東京都墨田区東向島2-38-5
(東武スカイツリーライン曳舟駅より徒歩6分・京成曳舟駅より徒歩5分)

©︎Fuminori Sato / Rokkoku

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©︎Fuminori Sato / Rokkoku

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プロフィール | 佐藤文則
茨城県生まれ。 City College of San Francisco で写真を学ぶ。フリーランスのフォトグラファー