第8回「写真家と写真集をレビューする日:ヤナ・ロマノヴァ」12月30日開催!

今回の「写真家と写真集をレビューする日」では、ロシアのサンクトペテルブルグに住む写真家Jana Romanova(ヤナ・ロマノヴァ)のShivili Shiviliという作品を紹介させて頂きます。

この作品は、彼女が産まれてから一度も訪れる事の無かったお祖母さんの故郷、グルジアへの非常に個人的な旅を基に制作されたプロジェクトです。
1999年、彼女の祖父母は何者かに殺害されて以来、彼女の父親はぱったりと自分の兄弟や親戚の話をしなくなりました。それに続くようにソ連の崩壊、後のアブハジア紛争はグルジアの親族とロシアの家族を、精神的にも物理的にも真二つに分けてしまいました。それから13年経ったある日、100人近くの親戚が今でもグルジアに存在する事を知り、彼らを訪ねてお祖母さんの故郷を訪れます。産まれて初めて目にする、血を分けた親族に暖かく迎えられながら、一人一人を訪ね歩き写真に収めて行く過程で、予想もしなかった非常に悲しい真実を知るのでした。またこの本は2部構成になっていて、後半部ではグルジアの親戚の元で見つけた、一度も会ったことのないお祖母さんの残された古い写真を使い、本の中で祖母の人生を再構築する試みが物語に更なる深みを出す効果を担っています。タイトルはグルジア語で「孫」を意味するそうです。

私が初めてこの作品を目にしたのは2012年の夏、ラトビアで開催された写真のサマースクールでの事でした。Janaさんはグルジアでプロジェクトを撮影後、その足でダミー本制作のワークショップに駆けつけました。出来立てのダミー本を見たときに、その内容の深さと本の作りのオリジナリティに圧倒させされました。ひたむきに家族の絆とは何か、と問いかける彼女の姿勢。あくまでも写真というメディアを通して、パーソナルな問題をいかに他者に伝えるかにこだわり抜いた素晴らしい作品です。家族をテーマにした写真はこれまでも多く撮られてきましたが、これ程まで内容にコンセプトやアイディアが上手く絡み合った写真集は稀だと思います。その後自費出版されたスペシャルエディション版は、各国の写真フェスティバル等ですでに大きな話題を集めています。

Shivili Shivili ©Jana Romanova

Shivili Shivili ©Jana Romanova

Shivili Shivili ©Jana Romanova

Shivili Shivili ©Jana Romanova

Shivili Shivili ©Jana Romanova

Shivili Shivili ©Jana Romanova

Shivili Shivili ©Jana Romanova

Shivili Shivili ©Jana Romanova

Shivili Shivili ©Jana Romanova

Shivili Shivili ©Jana Romanova

Shivili Shivili ©Jana Romanova

Shivili Shivili ©Jana Romanova

janaromanova-299x448Jana Romanova(ヤナ・ロマノヴァ)ロシア、サンクトペテルブルグ在住。
サンクトペテルブルグ国立大学ジャーナリズム学部卒業。主に写真やビデオ、インスタレーションを使い、ロシア及び旧ソヴィエト諸国の人々が持つアイデンティティーをテーマに実験的な手法を用いて作品を制作している。

※紹介文:安井草平さん、今回はゲストのヤナ・ロマノヴァと親交のある写真家・安井さんのご紹介、ご提案によって開催します。
今回対象となる本「Shivili Shivili」は間もなくRPS図書室に所蔵される予定です。
年越し間近の慌ただしい時ではありますが、ゲストのヤナは年があけて間もなく1月7日から3月まで冬季オリンピックが予定されているソチへ行くため、通信状況が読めないという事情から、この時期を選んでの開催となりました。貴重な機会になると思います。是非ともお誘いあわせの上ご参加下さい。

日時:2013年12月30日(月)午後6時から
会場:reminders photography stronghold
参加費:1,000円(定員20名程度、RPSメンバー会員は無料、参加費はすべてRPS図書室書籍購入資金にあてさせて頂きます)
司会:STRONGHOLD GALLERYキュレーター・後藤由美、進行+通訳:安井草平

ゲスト写真家:ヤナ・ロマノヴァ(ロシアよりスカイプ中継で参加)
※同時通訳あり、お気軽にご参加下さい。

参加の申し込みはこちら
↑のフォームがうまく起動しない場合は、メールにて①お名前(フリガナ)②EMAIL③参加希望人数④備考(連絡事項があればお知らせ下さい)と本文にお書き添え頂き、件名を「写真家と写真集をレビューする日:写真家・ヤナ・ロマノヴ参加希望」としてお申し込み下さい。stronghold@reminders-project.org

「写真家と写真集をレビューする日」アーカイブ

第七回:安世鴻
第六回:ジョシュア・ルッツ」
第五回:ディビッド・チャンセラー
第四回:ジェレミー・スティグテー
第三回:マーク・アスニン
第二回: ヴォルフガング・ベルウィンケル
第一回: レナ・エフェンディ