渡部周 写真展「THE LAST SUMMIT」7/10〜7/25まで
※初日のアーティストトーク会場視聴の席は定員に達したため募集を終了いたしました。
Reminders Photography Stronghold Gallery、2021年度の企画展第2弾として渡部周写真展『THE LAST SUMMIT』を開催いたします。
渡部の父親は、2017年7月に登山中の滑落事故により亡くなりました。「優しく、家族思いだった父にとって登山とは何だったのか?」。本作は、渡部が父親の最期の登山と向き合い、追体験することで亡き父との対話を試みたプロジェクトです。
2018年3月にRPSにて開催された実験的ワークショップアトラスラボ「AKINA BOOKSワークショップ:静と動~映画的な編集とダミーブック~」で取り組まれ、その後もRPSのメンターシッププログラムを通して発展させてきました。本展開催に合わせて、アーティストブック「THE LAST SUMMIT」も刊行いたします。
会期初日にはアーティストトークを開催いたします(会場参加定員あり、FB経由のオンラインでの同時配信も行います)。
写真展の詳細はFacebook等で随時お知らせいたしますので、ぜひご期待ください。
皆様のご来場、ご高覧をお待ちしております。
私の父は2017年7月15日、埼玉県秩父の両神山で、登山中の滑落事故により亡くなった。前年の9月に発覚した肝臓がん手術のため、年初に入院し、3月に退院。術後に肝硬変が発覚したものの、仕事や趣味の登山を少しずつ再開していた矢先だった。
「お父さんが昨日の朝、山に出かけたきり帰ってこないんだけど……」
快晴の朝に母からかかってきた電話の内容を聞いて、私は足元から地面が崩れていくような感覚がした。実家の近くの警察署で捜索願を出した後、妻の父が運転する車に乗せてもらい、私は両神山へ向かった。
父に無事でいてほしいと思う気持ちと同じくらい、このまま父が見つからなかったら、どうなるのだろうか?という考えが止まらず、絶望的な気持ちにもなっていた。私の気持ちを反映するかのように、現地に近づくにつれて激しく雨が降ってきたが、両神山に着く直前で現地の警察署から、父らしき人物の遺体が登山道の下で発見されたという連絡を受けた。警察署に運ばれてきた遺体を確認すると、それは紛れもなく父の顔だった。夏の暑い時期だったこともあり、父の遺体はそのまま火葬に回された。それゆえ、私以外の家族は、父の最期の顔を見ることがなく別れることとなった。
悪夢のような1日が終わり、秩父から東京へ帰る車中で私の頭に去来したのは、父が亡くなって悲しいという気持ちよりも、術後間もない体調を押して、なぜ父は登山に行ったのか?という憤りの気持ちだった。
葬儀など全てを終えて1週間ほどたった頃、私は実家の食器棚の引き出しに家族の写真が入っていたことを思い出した。父の面影を求めて写真を探してみると、これまで目に留まっていなかった父の登山写真が大量に出てきた。登山用のウエアやリュックを身にまとい、見渡す限りの自然の中で満足そうな表情をしている父の姿は、私が知っている、家庭での優しい父の姿とは異なっていた。
父にとって、登山とはどれほど魅力的だったのだろうか。事故で生じた憤りを消化するために、私は父が感じていた登山の魅力を知りたいと思うようになった。父の遺したメモを頼りに、ウエアや食事など登山に必要な装備をそろえ、父が登った山に登ることを決めた。
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渡部周 写真展「THE LAST SUMMIT」
◎会期:2021年7月10日(土)〜 25日(日)
13:00~19:00 会期中無休、入場無料
◎アーティストトーク
2021年7月10日(土)午後7時~
(会場:定員10名 Facebookライブ配信も同時に行います。)
※初日のアーティストトーク会場視聴の席は定員に達したため募集を終了いたしました。
本展開催に合わせて、アーティストトークを行います。会場参加には定員を設けさせて頂きますので、ご希望の方はこちらからお申し込みをお願いいたします。
参加申込フォームはこちらです。↓
https://forms.gle/pt4x85nLy9A8D3mk6
※写真展の入場にはお申し込みは必要ありません。
◎開催場所:Reminders Photography Stronghold Gallery
住所:東京都墨田区東向島2-38-5
(東武スカイツリーライン曳舟駅より徒歩6分・京成曳舟駅より徒歩5分)
助成 | すみだ文化芸術活動助成金
プロフィール | 渡部周
1982年生まれ。グラフィックデザイナー。企業や教育機関、展覧会などのグラフィックデザインを手がける傍ら、美術学校にてビジュアルコミュニケーションの講師を務める。