第23回RPSグラント受賞者が決定、クリスチャン・ヴィウムのプロポーザル「Revisited」が受賞しました

©︎Christian Vium / Revisited

2023年9月に申し込みが締め切られた第23回RPSグラント受賞者が決定しました。クリスチャン・ヴィウムのプロポーザル「Revisited(再訪)」です。審査員はトゥーン・ファン・デル・ハイデンです。
2024年後半に写真展の開催を予定しております。ぜひご期待ください。

 


この展示では、「再訪」プロジェクトの3つのパートからの抜粋を紹介し、文化的な出会いが時間の中でどのように展開するかを観客に考えさせ、時空を超えた祖先と子孫の対話を通して、表象と権力に関する疑問について考察させる。新しいイメージやフィルムと、パリンプセスト・モンタージュのユニークで希少なアーカイブを並置することで、この展示は150年の歴史を効果的に崩壊させ、観客にイメージや歴史物語の権威を問い、観客/ボイエアーとしての自らの立場を考えるよう、没入型の物理的体験へと誘う。

「Revisited」は、過去10年間に中央オーストラリア、ブラジル・アマゾン、シベリアの先住民族をフィールドワークした際に作成された資料からなる、三部構成のオーディオビジュアル・リサーチ・プロジェクトである。

それぞれの場所で、1867年から1912年の間に制作されたアーカイブ写真の中から厳選したものを、元々撮影された場所に戻している。撮影された人々の子孫とともに、私はその写真をめぐって綿密な対話を行い、その対話は、その後、私たちがアーカイブ写真の一部を共同で写真や映像に再解釈する際の出発点となる。この方法によって、文化批評のための感情的で反射的な空間が開かれ、その中で子孫たちは、時空を超えて祖先との具体的な対話に入る。このプロジェクトは、写真イメージにまつわる認識論的、存在論的な疑問に対する新たな洞察を提供する。

このプロジェクトは、スペクター・ブックス(ライプツィヒ)から2024年春に全3巻で出版される。

その3部作とは

航跡
2014年5月から6月にかけて、私はオーストラリア中部で、人類学者であり写真家でもあったフランク・J・ギレンとボールドウィン・スペンサー卿が1875年から1912年までの40年間にわたり原住民の生活について最も影響力のある記録を作成した有名な写真作品の要素を再解釈する作業を行っていた。中央砂漠のアレルンテ族とワルピリ族とともに、私はその画像を分析し、新たな写真シリーズを制作した。

啓示
2015年4月と5月、私は1867年にアマゾンで最初の写真を撮ったドイツの植物学者で写真家のアルベルト・フリッシュの旅を辿った。フリッシュが訪れたアルト・ソリモエス川沿いの地域に住む先住民とともに、私は彼のオリジナル・イメージの再解釈シリーズを制作した。


2017年の冬、私はロシアのサハ共和国ヴェルフネコリムスキー地区の小さな集落、ネレムノエに行った。19世紀初頭にジェサップ北太平洋探検隊の一員としてワルデマール・ヨチェルソンとディナ・ブロツカヤが撮影した写真の一部を持って行ったのだ。しかし、ネレムノエの人々は独自の膨大な現地語アーカイブを持っており、やがてそれが私たちの共同作業の焦点となった。

以上、作家による展示企画書からの抜粋とステートメント


©︎Christian Vium / Revisited

©︎Christian Vium / Revisited

©︎Christian Vium / Revisited

©︎Christian Vium / Revisited

©︎Christian Vium / Revisited

©︎Christian Vium / Revisited

©︎Christian Vium / Revisited

©︎Christian Vium / Revisited

作家ププロフィール|クリスチャン・ヴィウムはアーティストであり、オーフス大学(デンマーク)の人類学准教授として、マルチモーダル人類学研究室を指導し、視覚人類学修士課程をコーディネートしている。彼の作品は35以上の展覧会で展示されている。研究プロジェクト「North Atlantic Everyday Stories」(Velux Foundations)と「Tales of a Nomadic City」(Wenner-Gren)の主任研究員。モエスゴー美術館の名誉キュレーター。現在、カールスバーグ・モノグラフ・フェローシップを受け、アフリカからヨーロッパへの不定期移民に関する受賞プロジェクト「Departed」を完成させている。2024年春、ライプツィヒのSPECTOR booksより三部作のモノグラフ「Revisited」を出版予定。2023年から24年にかけては、ハーバード大学フィルム・スタディーズ・センター(米国)の関連研究フェローであり、映画、クリエイティブ・アート、科学、テクノロジー、社会起業家精神にまたがる創造的で分野横断的なパートナーシップにおける実験とコラボレーションのためのインキュベーターCPH:LABの一員でもある。クリスチャンは2016年HSBC賞受賞、東京国際写真賞受賞、Foam Talent 2015受賞、Critical Mass Listに選出されている。