第14回RPSグラント受賞者AMAK MAHMOODIAN

Amak Mahmoodianのプロポーザル「Shenasnameh」が、2016年8月に申し込みが締め切られた第14回Reminders Photography Strongholdグラントを授賞しました。
審査員は、ペギー・スー・アミソン、マリー・レリーヴル、マイケル・ドーニー、ジュゼッペ・オリヴェリオ、ディーン・チャプマンの5名です。

©Amak Mahmoodian / the 14th RPS grantee

「Shenasnameh」 6年前、私は母と私の出生証明書を手に待合室にいた。
私の目は、母の写真から私の写真、そして再び母の写真へと行きつ戻りつしていた。
私はこれらの写真が意味するもの、これらが表すこと、そしてそこに隠されていることを突然認識することになった。
私の母と私のすべての違いがひとつのものにされていた。
私は母に似ているし、母は私に似ている。
しかし、それにはそれ以上の意味があった。

私達二人と同様に、イラン女性たちは皆、同じように見えることを余儀なくされていることを、何の前触れもなく私は理解した。
その日、私の写真の脇には私の指紋が、そして母の写真の脇には母の指紋が捺された。
顔は同じように見えたとしても、指紋は違っていた。
その後、私は家族や友達など、イラン女性たちのShenasnameh(出生証明書)の顔写真、そして指紋を集め始めた。
少しずつ異なる話しが語られ始め、違いが現れ始めた。
彼女たちに押し付けられた制約にもかかわらず、指紋と同様に顔も異なっている。
そして、眼の輝き、口の曲げ方、眉の上げ方など、それらはやはり個性や個人としての性質を主張していた。
個人としての女性、一房の後れ毛だけではない女性。
このプロジェクトの主題はこれなのだ。
彼女のわずかな部分が、他の女性たちからの違いを示している。
彼女は彼女以外何者でもないことを。

©Amak Mahmoodian / the 14th RPS grantee

©Amak Mahmoodian / the 14th RPS grantee

©Amak Mahmoodian / the 14th RPS grantee

©Amak Mahmoodian / the 14th RPS grantee

©Amak Mahmoodian / the 14th RPS grantee

Amak Mahmoodian 1980年、イラン出身。
アーティスト、キュレーター。
テヘラン美術大学にて写真とドキュメンタリーの修士号、2015年にはイギリスのサウスウェールズ大学でアート&フォトグラフィーの博士号を取得。彼女の作品は、個人的なものを表現し、一般的な問題へと関わるアイデンティティを主題としている。
2016年には限定版の「Shenasnameh」の第1版を出版した。この本は、マリボル・フォトブック賞(スロベニア)の特別賞を授賞、ベスト・ブリティッシュ・ブックデザイン&プロダクション・オブ・ザ・イヤーにノミネートされた。
Amak Mahmoodianの異なるプロジェクトは、Fフォトギャラリー、カーディフ、ブリストル、ロンドン、チェンナイのゲーテ・インスティテュートなどで展示された。イギリス在住。 http://www.amakmahmoodian.co.uk (日本語訳文責:奥山美由紀)