吉田亮人写真集「The Absence of Two」ご注文受付終了しました。

111部のご注文受付けが終了しました。ありがとうございました。是非写真展にもお越し下さい。8/5-20までです。

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2016年5月に写真家ヤン・ラッセルと後藤由美によって開催されたワークショップPHOTOBOOK AS OBJECTの参加者の一人、吉田亮人のアーティストブック「The Absence of Two」のオンライン販売を開始いたします。
小学校教師を辞め写真家の道を選んだ吉田は、写真家を志した頃から年下の従兄弟と、従兄弟が生まれた時から生活を共にする祖母の関係性を撮り続けてきました。この2人に関するプロジェクトを本としてまとめるためにワークショップに参加しました。
この本は23歳で自死した従兄弟と、88歳で他界した祖母の年齢を合わせた111部限定生産となります。
尚、このプロジェクト着手当初は従兄弟の自死から「Falling Leaves」というタイトルをつけていましたが、2016年末に祖母が他界し、2人が不在となったことにより、’The Absence of Two’というタイトルに変更しました.
本写真集は8月5日から20日までRPSで企画展開催と同時に刊行を予定しています。

「The Absence of Two 」

九州は宮崎県国富町。
田畑が広がるのどかで小さなこの田舎町に、1928年生まれの私の祖母と、1990年生まれの私の従兄弟の大輝が共に生きていました。
祖母は忙しい大輝の両親に代わって幼少期より彼を大切に育て、同じ家、同じ部屋で寝食を共にしてきました。

「あれの小学校の入学式もオレが行ったとよ。他の子どもの母親はみんな若いのに、大輝だけばあさんで嫌やったやろうねえ。先生も何でばあちゃんが来てるっちゃろうって、思ったっちゃないやろうか。」

ある日、祖母が私にそう言って、アルバムを見せてくれたことがあります。
そこには七五三、小学校の入学式、運動会など、節目節目の行事の写真が収められていました。
どこの家庭でもあるようなそのアルバムが他と少し違ったのは、大輝と共に祖母の姿が必ずあったことです。
祖母にとって大輝は人生の晩期に訪れた宝物だったのでしょう。私が祖母の家に遊びに行く度に大輝の話を聞かせた祖母。そしてその傍らにはいつもニコニコと笑う幼い大輝が居ました。
一方、大輝にとっても祖母は「居場所」そのものだったに違いないでしょう。
そうやって長い時間をかけて育まれた二人の時間はただの「祖母」と「孫」という関係性を越えて、双方ともに流れる特別な信頼と愛情を築いていったのでした。
いつだったか大輝が私にこう言ったことがあります。

「僕はばあちゃんの愛情を浴びるように受けて育ってきたから、ばあちゃんが死ぬまで僕が面倒見るのは当たり前だと思ってる」

その言葉通り、看護大学の大学生となってからも祖母と離れることなく、献身的とも言えるほどの世話を施しながら大輝は祖母との生活を続けました。
私は二人を写真に撮るまで祖母と大輝が繰り広げる小さな日常を、当たり前の光景として見てきました。
しかし、祖母の手を引いて買い物に連れていく大輝の姿。
「気をつけて帰ってこいよ」と言って大学に行く大輝をいつまでも見送る祖母の姿。
畳に寝そべって他愛ない話に花を咲かせる二人。
そんな二人を、家族として、写真家としてファインダー越しに描写し続けた写真を見るにつけ、何でもない当たり前だった光景が、次第にかけがえのないものとして映るようになりました。
そしてこのストーリーは遠くない将来訪れるであろう、祖母の死をもって終わりを迎えるはずでした。

しかし、それは何の前触れもなくやって来たのでした。

「あれはどこ行ったっちゃろうかい。バイクで行ったっきり帰ってこんが。」

2014年2月末、突然行方不明となった大輝。
祖母はなす術もなく、部屋の窓辺に立ち、ただひたすら大輝の帰りを待ち続けました。
何の手がかりも得られないまま、約1年が経過したある日。
帰らぬ姿となった大輝が森の中で見つかったのでした。
大輝は祖母を置いてその生涯をひっそりと、何も言わず、何も残さず、23年の生涯を自ら閉じたのです。
その後を追うかのようにその翌年の2016年、祖母は他界しました。

最後に残されたのはお互いがお互いを必要しながら、支え合い、労わりながら生きてきた二人の幾葉もの写真たちでした。
小さな田舎町で、小さな日常を生きた、小さな家族の写った写真を通して、私は二人と再び対話してみようと思います。

「The Absence of Two」

◎冊子:116ページ
◎写真54点+アーカイブ9点
◎言語:日本語版もしくは英語版
◎サイズ:箱:高さ281mm x 横幅203mm x 厚み29mm/本体:高さ281mm x 横幅200mm x 厚み20mm
◎部数:111(受注生産)
◎写真・イメージ製作・文章・編集・印刷・製本:吉田亮人
本書は、リマインダーズ・フォトグラフィー・ストロングホールドにて2016年に開催されたヤン・ラッセルと後藤由美によるワークショップ「フォトブック・アズ・オブジェクト」において、コンセプトワーク、編集、アートディレクションを発展させて製作されました。
◎11,100円(送料別途700円)全エディション、署名入り(ご予約受付は終了しました。)

 

本写真集は8月5日から20日までRPSで企画展開催と同時に刊行を予定していますので、8月に入ってから制作を開始、完成次第、発送となります。ご注文確定間もなくのお届けにはなりませんのでご注意下さい。発送に2〜3ヶ月かかる場合もございますので予めご了承下さい。

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