第15回 グラント受賞写真家パノス・ケファロス「Saints」展開催
第15回Reminders Photography Strongholdグラントをパノス・ケファロスの作品「Saints」が受賞しました。2016年12月に申し込みが締め切られた応募作品の中からペギー・スー・アミソン、マリー・レリーヴル、トゥーン・ファン・デル・ハイデン、エンリコ・ボッサン、ディーン・チャプマンの5名の審査員によって選出されました。作家本人も来日、展示作品も含まれている写真集の販売も予定されております。是非、期間中にお越し下さい。
なぜ「Saints」(聖人)なのだろう?
タイトルとその主題の間の関係は曖昧だ。私にとってスピリチュアルなものの追求のシニフィエ(言い表されているもの)であるこの言葉「Saints」をタイトルとして選んだ。
この作品を通して探していたのは、失われたスピリチュアルなつながり、つまり、これらのポートレート写真の中の人たちと私を繋いでいるなにか、この人びとと私の町、または私といつまでも消えない自身の過去の影をつなぐものだった。
2012年の秋、直接関係のない仕事へ携わったことにより、私はアテネのダウンタウンにあるヴィクトリア広場にやって来た。
当初、私は子どもたち(そのほとんどはアフガニスタンからの難民だった)の日々の生活を捉えることを目指していた。彼らはその広場で働いたり、遊んだりしていた。しかし、その目標はあっという間に膨らんでいった。
割れた鏡に映し出された大人の生活としての子ども時代、子ども時代を引き裂く力、壊れやすさ、のびのびとした自由、戦争の残忍な暴力、子どもの遊びの中に現れる本能的な部分、が私の目指すものになった。
聖人とは、罪人に償いと超越の道を開く者だ。
アテネで出会った三人の子どもたちとその家族との間に築いた繋がりが、私の心の底にあった恐れによる緊張を解いてくれた。
彼らが私に教えてくれたのは、写真家として究極的に目指すべきなのは、彼らの置かれた世界を自分自身の目で見ること、そしてそれによって真の繋がりを築ける、ということだった。 これらの写真はどんなストーリーも語っていない。
これらの写真はイメージ、私たちの出会いから感じたことの反映の自由連想だ。 私が出会った人びとは皆、2015年までにギリシャを離れていった。
私はその年の8月に起こった難民危機を記録した。世界中から集まったテレビ取材陣、フォトジャーナリストの中で、私は最後の写真を撮影した。国際欄のヘッドラインを飾るべきタイミングだったが、プレスニュースの動きに直面していると、個人的な旅と友情は過ぎてしまった懸念のように思えた。
(日本語訳文責:奥山美由紀)
◎会期:2018年6月9日(土)〜6月24日(日) 午後1時〜午後7時(会期中無休)
※6月9日初日のみ午後6時からのオープンとなりますのでご注意下さい。
◎オープニングレセプションおよびアーティストトーク:6月9日(土)午後6時から
尚、期間中写真集「Saints」の販売が予定されています。
◎会場 Reminders Photography Strongholdギャラリー
東京都墨田区東向島2-38-5
入場料無料
RPSグラントについて
RPS に企画展を提案して頂き、 RPS 審査委員会の審査を通過された方に、RPS ギャラリースペースを5 日以上(最高20 日まで) 無償でご利用いただけます。 対象: 写真家、キュレーター、ギャラリスト、ほか。更なる詳細はこちら→ https://reminders-project.org/rps/grantjp/
こちらの情報については随時Facebookにて更新しておりますのでそちらをご覧ください。
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