茂木良子写真集「無始の貪」ご注文受付中
ただいまより、 茂木良子 写真集「無始の貪」のご注文受付を開始いたします。
茂木は2020年にリマインダーズフォトグラフィーストロングフィールドで開催された実験的ワークショップ「ATLAS LAB」に参加し、本作品の制作に取り組んできました。
「無始の貪」(むしのとん) とはお経の懺悔文 (さんげもん) の中に出てくる言葉で、「いつから始まったのか、その始まりももはや分からない欲望」という意味で、懺悔文の中では悔い改めるべきものの一つとして書かれている。父親の無始の貪によって過去の幼い子供達は傷つき、ずっと距離を取って生きてきた。しかし、歳を取り病気になった父親の中に変わらずあり続ける無始の貪。それによって突き動かされている父の姿には、ある種の迫力が入り混じっていた。それに惹きつけられるように父親の写真を撮り始めた茂木は、結局は自分の中にも父と同じように無始の貪があると自覚する。
アーティストブックの発売と同時に、2023年12月には茂木良子写真展「無始の貪」も開催いたします。ぜひ併せてご注目ください。
「無始の貪」
パーキンソン病になった父は、私が嫌いだった以前の父とは変わり、より動物的になり、私はむしろ親近感を抱けるようになった。昔から自分のやりたい事を優先し、自分の理想と違うものを軽蔑し、家族に目を向けるよりも、自分の人生の価値を高めることに躍起になっていた父は、今や自分の手足のコントロールさえできずにもがいている。支配できない自分の身体に文句を言いながら、それでもやはり自己愛の世界の中で生きる父の姿に、私は以前のような嫌悪感ではなく徐々に興味をいだくようになった。
この父の存在は私にとって何であるのか。
私は野生動物を観察するように父を撮影することで、新たな父との対話を試みてみようと思った。
病気になってからも相変わらず畑仕事をしている。これができなくなったら人生は終わったも同然と言わんばかりに。体の動きが悪い時は、こっそり薬を余分に飲んでいるらしく、そんな時は顔つきも変わり言葉も乱暴になるが、本人は体が動く快感でいっぱいのようだ。まるで新種の生き物のように動き回る。自分がまだ子供だったら恐ろしくて見ていられなかったかもしれないが、大人になった今の私に映る父の貪欲な我儘さには、呆れつつも何か惹きつけられる迫力が入り混じっている。
この本を製作していく過程で、私の中にも父と同じように「無始の貪」がある事に気付いた。そして父は父で、自分の生い立ちやその時代の流れに葛藤したり合わせたりして生きてきたのだろう。それは昔のことを全て良い思い出に書き換えられるような気付きではないけれど、少しだけ自分の中の毒が消えていくような気がした。
文:茂木良子
茂木良子 写真集「無始の貪」
◎部数:65部(エディション、署名入り)
◎ページ数:216ページ
◎サイズ:166mm x 230mm x 24mm
◎重さ:約457g
◎言語:日本語英語併記
◎価格:9,900円(消費税込、別途送料についてはこちらをご確認下さい)
◎写真・編集・印刷・装丁: 茂木良子
◎コンセプト、ストーリーライン、アートディレクション:後藤由美(リマインダーズフォトグラフィーストロングホールド)
ご注文を頂き、お振込の確認が出来次第発送させて頂きます。
制作期間として1〜2ヶ月程度お待ちいただく場合がございます。あらかじめご了承ください。
ご連絡がなくお振込、決済の確認が出来ない場合は自動的にキャンセルとさせていただきます。
尚、発送時にはとくにご連絡をいたしません。※宅配便でのお届けとなります。ご希望の方は、下記フォームよりご注文ください。
また、下記フォームが機能しない場合は、こちらのリンクよりお申し込みください。
https://forms.gle/iU7EwRQpwuh2XfEo6
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©︎Yoshiko Mogi / MUSHI no TON
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