コロナ禍中インタビュー「長期プロジェクトに取り組む作家」:千賀健史

現在RPSでは「COVID-19パンデミック」に関する企画展提案の募集を行なっております。
当募集の締め切り日は8月15日となります。ご検討いただき是非ご応募ください。

今回はコロナ禍において作家としてどのように作品作りをしてきたのかインタビューを行いました。
回答していただいたのは、来たる8月22日(土)午後7時より予定しているオンライントークライブ「長期プロジェクトに取り組む作家」にご参加頂く作家さん4名です。
「COVID-19パンデミック」企画の応募を検討している方には是非参考にして頂ければと思います。
尚、22日のイベントにつきましてはまもなくご案内を開始しますので今しばらくお待ちください。

今回はイベント登壇者の一人、千賀健史さんに3つの質問に答えていただきました。

回答者:千賀健史さん

【質問1】新型コロナウイルス蔓延下の自粛期間中、自身のプロジェクトにはどのように取り組まれていましたか?

【回答】自宅内で出来ることとしてネットや本を通じたリサーチをしたり、物撮りなど自宅内で可能な撮影をしていました。
そもそも現在取り組んでいるプロジェクトは当事者や実際の現場など、いわゆるホンモノの撮影が非常に難しい内容なのでいかにホンモノを撮影せずに出来事を表現するか、ということを考えては実験を繰り返しました。

©︎Kenji Chiga

©︎Kenji Chiga

©︎Kenji Chiga

©︎Kenji Chiga

【質問2】新型コロナウイルス蔓延下の自粛期間中はどのように過ごされていましたか?

【回答】基本的にはインプットの時間にしてゆっくり過ごしていたんですが、海外の写真家やグループからコロナに関連したお誘いをいくつかもらったのでそれに取り組んでいるか、自分のプロジェクトに取り組んでいるかという感じで家にいました。その際始めた短期プロジェクトの画面越しに撮影する方法は現在取り組み中の長期プロジェクトの方にも活かされています。とはいえ日頃からそんな感じで家にいるので自分自身は過ごし方はそんなに変わりはなかったです。

©︎Kenji Chiga

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©︎Kenji Chiga

【質問3】現在取り組んでいるプロジェクトについて教えてください。

【回答】電話特殊詐欺、特にオレオレ詐欺と呼ばれる詐欺についてのプロジェクトです。加害者(若者)と被害者(高齢者)、そして社会の関係・役割・私との接点を詐欺という犯罪を中心にそれぞれの視点で視覚化しています。リサーチを進める中で見えてきた社会的な弱者対弱者の構図は、弱者とは一体何者かそれを捕食しているのは誰かを考えさせられました。
大量に溢れる情報の中で私達は余計な情報には目を伏せて、必要なタグ付けを済ませた後はそれ以上考えることをやめるように習慣付けられています。
繰り返される”かわいそう”と”殺せ”の後にやってくる最悪の時代がすぐそこに迫った現代を嘘と本当の間で表現しています。

©︎Kenji Chiga

©︎Kenji Chiga

©︎Kenji Chiga

©︎Kenji Chiga

©︎Kenji Chiga

©︎Kenji Chiga

©︎Kenji Chiga

千賀健史 | プロフィール
1982年、滋賀県生まれ。大阪大学基礎工学部卒業。
卒業後ファッションフォトグラファーのアシスタントとして上京。その後様々なワークショップを通じてビジュアルストーリーテリングとしてのドキュメンタリー作品制作に取り組む。
作品は主にリサーチをベースとし、身近なテーマから社会問題へと暗喩的なイメージを用いて制作されている。純粋な記録だけによるのではなく、問題が抱える複雑さを表現するために時に演出を加えることや架空の物語を使うことから、飯沢耕太郎氏によりニューフォトジャーナリズムの旗手と評される。
近年では手製によるダミーブック、及び少部数の自費出版も行っており、作品は主に海外のダミーブックアワードにおいて評価されている。