L’artiere写真集のご紹介とサイン会:菊地智子「I and I」と森田友希「Oblique Lines 」
来る12/
イタリアの出版社L’Artiereよりコレクションを
第一部
写真集関連イベント第一部 12月9日午後4時〜:写真家と写真集をレビューする日
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第二部
写真集関連イベント第二部 12月9日午後7時から:3 BOOKS on “Texture and Rhyme”
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以上を挟む形で開催いたします。
◎L’artiere写真集のご紹介とサイン会:菊地智
日時:2017年12月9日(土)午後6時半から7時頃
当日はL’ARTIEREの本の販売および作家によるサ
◎菊地智子 写真集「I AND I」
2005年の大晦日の夜、北京でドラァグクイーンのメイメイに出会ったのはある偶然からだった。意気投合した私を、彼女は北京にあるゲイバーに連れ歩き、「立ち入り禁止」と書かれているクイーン達がパフォーマンスの準備をする楽屋のカーテンの裏に引きいれてくれた。
その瞬間から全ては始まった。
当時、クイーン達は社会の片隅に追いやられており、昼間は家賃の安い地下室で数人一緒に生活し、夜はアンダーグラウンドのゲイバーで踊りや歌やコントで生計をたてていた。大部分のクイーン達は、「心と体の性の不一致」を家族に知られないように地方から都市に逃げてきていた「北漂」*だったが、芸の競い合いはとても厳しく、その競争からふり落とされると売春をするか故郷に戻る以外他の道はなかった。
競争の激しさからクイーン同士の友情はなりたちにくく、恋愛に対してもうまくいくことは稀で、家族、仕事、愛情、友情どれもが八方塞がりで、行き場のない感情はアルコールやセックスで麻痺させていた。
それから数年後クイーンは少しずつ社会で頭角を現し、受け入れられるようになっていった。友人のクイーンは全国芸能大会で優勝して全国のTV番組を駆け巡るようになり、その頃からゲイバーは、もはやアンダーグラウンドな存在ではなくなってきた。カミングアウトし、家族とも徐々に和解をするクイーンも増え始め、彼女達を取り囲む環境は変わりつつあった。
2008年に私は北京を去ったクイーンを追って重慶にたどり着き、彼女の周りの85後(1985年以降生まれ)や90後(1990年以降生まれ)の若いクイーン達に出会った。彼女達は、上の世代より軽々と性を乗り越え、「性」に関するあらゆる既成概念からも超越していた。堂々と女装のまま外を歩き、親に隠すこともはじめから否み、自らのアイデンティティーを誇示する最初の世代といえる。
シリーズ 「I and I」は、中国でクイーン達がアンダーグラウンドの世界に暮らしていた暗闇の時代から、かすかな光を見つけだすまでの、理想と現実の間の彼女達の葛藤と魂のあり様を描いている。
近年、中国における「ジェンダー」に対する意識は恐るべきスピードで変化し続けている。私の「性」の探索の旅はやっとスタートラインに立ったばかりだ。
* 北京漂流の略。地方から夢を追い求めて北京に集まる若者達。
菊地智子 写真集「I AND I」
価格;7,500円
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◎森田友希 写真集「OBLIQUE LINES」限定35部(RPS特典付き)
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