【クローズアップRPSメンバー連載コラム】写真家・岡田将 第一回「文章と編集」

RPSにはメンバーシップ制度があり内容にあわせて特典があります。メンバーシップの制度も2012年度の発足当時からありますが、有効な利用をしてくださってる写真家さんによるコラムの連載を不定期で始めることにしました。連載時期はメンバーシップの特典(RPSキュレーター後藤由美によるメンターシップ)を利用して結びついた成果がなんらかの形で露出する機会、例えば、写真展や本の刊行などをするタイミングにあわせて行う予定です。メンターシップを担当するRPSキュレーターの後藤由美が有効にメンターシップを利用され成果が著しいと手応えを感じた写真家さんをピックアップして連載のキュレーションをしていきます。その連載第一弾は11月1日からJUNE21枠で新宿ニコンサロンで展示が始まる岡田将くん。
コラムの内容は自由ですが、この一年で取り組んだことを振り返って写真数点とともに文章にしてもらっています。という訳でまずはその第一回目になります。

 

「文章と編集」

このたびコラムを連載することになった写真家の岡田将(オカダススム)です。東京下町住まい。拙い文章ですが宜しくお願いします。

2015年、私は2つの大きな壁に直面していた。1つはステイトメントという壁、もう1つは編集作業という壁だ。あるポートフォリオレビューがきっかけでステイトメントそして編集作業の重要性を痛感した私は、写真家である知人に相談した結果、ステイトメントの書き方と編集作業を学びにREMINDERS PHOTOGRAPHY STRONGHOLD(通称:RPS)へ通うことにした。

RPSのISO100に登録すると1年で4回のセッションを受けることができる。7月に受けた第1回のセッションではRPS代表の後藤由美さんによる面接が行われた。ちなみに後藤さんは写真家ではない(当時はその重要性を認識していなかった)

持参した製作中の写真を見ながら何を表現したいのか?という根源的な部分を浮き彫りにしていく。自分でも気づかなかった部分が写真家以外の言葉によって浮き彫りにされた時、通い始めたのは間違いではなかったという確信が生まれた。当時持ち込んだ写真のメモにはこうあった。砂丘の遠景、都市の中に見るコンクリート、採掘場、鉱石、天体写真。写真を眺めて話し合った結果「世界は常に表裏一体で多面的であるということを主張し、視覚化させる」という結論に至った。次は2ヶ月後を目処に。そう言われたものの、病に倒れた母を介護したり、介護の甲斐なく他界したりと色々な出来事が起こり、2回目のセッションに至れないでいた。

2015年の9月、友人から「シルバーウィークに旅行しよう」と突然の連絡があった。母が他界して意気消沈している私を気遣ってくれたのかもしれない。どこへ行きたい?と聞くと「お前の行きたいところでいいよ」と言ってくれたので、私の好きな石に関係する場所を巡る旅行にした。私は子供の頃から石に惹かれていたらしく「子どもの頃のあなたは百貨店に行くと他には目もくれずに宝石売り場へと向かう変な子だった」と生前の母が笑いながら語っていたのをよく覚えている。
岩手まで電車で移動し、レンタカーを借りて東北を巡った。龍泉洞でしっとりと濡れた岩肌を楽しみ、久慈市で琥珀採集に一喜一憂した。そして日本海側へ移動し、目的地である青森県の七里長浜へ向かった。七里長浜は全長約30kmもある長大な浜で、七里長浜に落ちている石は色彩豊かで多くの石好きたちを魅了している・・・という噂を聞いて以来、ずっと憧れていた場所だ。背の高い草に囲まれた車の轍道を突き進む。本当に着くのだろうか?という不安が心を過りだした頃、急に視界が開けて美しい空と雲そして日本海の波が私達を待っていた。興奮気味に車を降りると足元には噂通り色とりどりの石が落ちていた。興奮がピークに達した私はその場で即座に石を拾い始めた。
tohoku001

(次回につづく)

岡田 将 写真展
砂の顔
http://www.nikon-image.com/activity/salon/exhibition/2016/11_bis.html#01
11/1 (火) ~11/7 (月)
10:30~18:30(最終日は15:00まで)
会期中無休
11/5(土)12:30~13:30 ギャラリートーク開催

作者のプロフィール
岡田 将(オカダ ススム)
1984年東京都葛飾区生まれ。2006年日本写真芸術専門学校フォトアートコース菊池ゼミ卒業。07年日本写真芸術専門学校フォトアートコース菊池ゼミ研究科修了。
写真展に、12年「白い痕跡」(Juna21新宿ニコンサロン、Juna21大阪ニコンサロン)がある。