第19回RPSグラント受賞者:Loulou d’Aki

2018年12月に申し込みが締め切られた第19回RPSグラントにて受賞者が決定しました。Loulou d’Akiのプロポーザル「MOTHER OF CHOICE」です。

審査員は、アンドレイ・ポリカノフ、ステートン・ウインター、スヴェトラナ・バチバノワ、ペギー・スー・アミソン、アレクサ・ベッカー、ジュゼッペ・オリヴェリオ、エンリコ・ボッサンの7名です。

2020年には写真展の開催も予定しております。ぜひご期待ください。

©︎Loulou d’Aki / MOTHER OF CHOICE / the 19th RPS grantee

MOTHER OF CHOICE

「男女や夫婦の関係に対する考えと、子供を持つことに対する考えというのは、まったく異なるのだ、ということを実感したのです。恋愛や結婚関係に年齢は関係ありません。年齢にかかわらずに、人は伴侶に出会うことができます。このように理解することができてから、私はまずは伴侶を見つけなければ、とか、子供が欲しかったらとにかく妥協してもパートナーを得なければ、というストレスから解放されたのです。」

1972年、スウェーデン政府は「未来の家族」という新しい声明を出した。
これは、個人主義と独立の重要性を明確に示すもので、そのモットーは成人は他の成人に頼ることなく、完全に独立しているべき、というものだ。

2016年4月、スウェーデンにおいて独身女性が人工授精を受けることを認可する新しい法律が可決された。
それまで、妊娠を望む女性は、海外の体外受精クリニックに頼るか、個人的に精子を提供してくれるドナーに頼るしか妊娠する方法が無かった。「MOTHER OF CHOICE」は、寛大な政府からのサポートと福祉により、そしてシングルマザーになることが社会的不名誉ではなくなったことで、一人で母になることを選んだ独身女性に関するプロジェクトだ。社会民主主義政府が「未来の家族」マニフェストを行ってから40年以上が経ち、スウェーデンは伝統的な家族構成に大きな変化が現れるのを目の当たりにしてきた。

「MOTHER OF CHOICE」はこのテーマに関わる個人たちを通して、社会的現象を提示している。多くの女性たちにとって、この新法は変化そして新たなタイプの家族構成に対する平等な見方を支持するものだ。これが意味するものは、ようやく女性たちが国中の国立クリニックにおいて、政府からの助成で治療を受けられること、そして未婚の母になることは高額な治療を受けられるだけの財力のある者たちだけのものではないということだ。

「家族とは、独立して働いている個人によって構成されている。もし女性が男性に経済的に頼っている場合、そのような関係を続けていることが本人の欲するところによるのか、必要に迫られた結果なのかを知ることは不可能だ。」
社会民主的政府によって1970年代に樹立されたこれらの基準は今、重要性を増しているのかもしれない。

©︎Loulou d’Aki / MOTHER OF CHOICE / the 19th RPS grantee

©︎Loulou d’Aki / MOTHER OF CHOICE / the 19th RPS grantee

©︎Loulou d’Aki / MOTHER OF CHOICE / the 19th RPS grantee

©︎Loulou d’Aki / MOTHER OF CHOICE / the 19th RPS grantee

©︎Loulou d’Aki / MOTHER OF CHOICE / the 19th RPS grantee

©︎Loulou d’Aki / MOTHER OF CHOICE / the 19th RPS grantee

©︎Loulou d’Aki / MOTHER OF CHOICE / the 19th RPS grantee

©︎Loulou d’Aki / MOTHER OF CHOICE / the 19th RPS grantee

©︎Loulou d’Aki / MOTHER OF CHOICE / the 19th RPS grantee

©︎Loulou d’Aki / MOTHER OF CHOICE / the 19th RPS grantee

©︎Loulou d’Aki / MOTHER OF CHOICE / the 19th RPS grantee

©︎Loulou d’Aki / MOTHER OF CHOICE / the 19th RPS grantee

©︎Loulou d’Aki / MOTHER OF CHOICE / the 19th RPS grantee

©︎Loulou d’Aki / MOTHER OF CHOICE / the 19th RPS grantee

©︎Loulou d’Aki / MOTHER OF CHOICE / the 19th RPS grantee

©︎Loulou d’Aki / MOTHER OF CHOICE / the 19th RPS grantee

 

ルル・ダアキは、スウェーデンの海辺で生まれ育った写真家。ローマのISFCIの写真科を卒業し、その後はヨーロッパ各地、北米、日本、中東に在住しながら製作をしている。

ダアキは写真家として、住んでいる社会によってどう人間が影響を受けるか、境界線/国境と自由の与える影響に関心を持っている。

コミッションによる撮影のほか、ダアキは長期のプロジェクトに取り組み、展示や出版を通して発表している。プロジェクトの一つである「Make a Wish」は2017年のCortona on the Moveフォトフェスティバル(コルトーナ、イタリア)においてダミーブック賞を受賞、2018年には同フェスティバルから「They call us dreamers but we’re the ones who don’t sleep」として出版された。

ダアキは写真家になる前は歌手活動をしていた。スウェーデン語、英語、イタリア語、フランス語に精通しているほか、ドイツ語とヘブライ語も話す。

2010年〜2015年は中東を拠点としており、現在は在住しているアテネから世界各国にアサインメントおよび個人のプロジェクトのために旅をしている。

日本語訳文責:奥山美由紀