野村幹太 写真展「吉田寮学生寄宿舎史」3/9~3/31まで

Reminders Photography Stronghold Gallery、2019年度の企画展第1弾は野村幹太 写真展『吉田寮学生寄宿舎史』を開催いたします。
本作は京都大学の寮であり、現存する学生寮としては日本最古、築105年の歴史を持つ「吉田寮」に関するプロジェクトです。
作家の野村幹太は2008年ごろより撮影を始め、2017年にはKYOTOGRAPHIE – KG+のプログラムの一環として吉田寮にて展示も行われました。その当時よりRPSのメンターシッププログラムを受けつつ、写真集制作も作品のアウトプットの最終型としてプロジェクトを更に発展させ、2018年3月にRPSにて開催された実験的ワークショップアトラスラボ「AKINA BOOKSワークショップ:静と動〜映画的な編集とダミーブック〜」でも取り組まれた作品となります。その後もダミーは推敲を重ね発展を続けている段階ですが、今展示期間中には会場で本の推敲制作を行い、皆様には吉田寮の世界観のみならず作家のオープンアトリエとして会場での制作風景もご覧いただく構成となっています。
本の完成は展示期間中を目指し、完成に至った時点でアーティストブックとしてご注文の受付をする予定となっております。その時が来ましたら告知させていただきます。今暫くお待ち下さい。
尚、2018年7月にはYahoo!ニュースにて作家による写真記事も掲載されております。こちらから是非ご覧ください。

©︎Kanta Nomura

京都大学吉田寮は現存する国内最古の学生寮である。吉田寮は1913年築の現棟と、2015 年築の新棟、同年に補修を終えた食堂の計3棟から成る。現在、国籍や性別もさまざまな約 100人の学生たちが暮らしている。現棟は南北に細長い木造平屋建ての管理棟から、木造2 階建ての3寮棟が東に伸びる「E字型」の配置である。

初めて吉田寮の玄関を潜った時、木造建築の佇まいや生活感が感じられる、どこか懐かしい空間に言いようもなく魅了された。建物の屋内にはかつてそこにいた多くの学生たちの暮らしの跡が確かに刻まれていた。繰り返し訪れるたびにその気配は密度を増して感じられるようになった。

現在、その吉田寮の先行きが不透明になっている。大学側は、一部の建物の老朽化が深刻
であるなどを理由に、昨年9月末までに全寮生の退去を求めていた。しかし、寮生たちは「一方的だ」と反発、議論は平行線をたどっていた。退去期限が過ぎた現在も両者の溝は埋まらないまま、寮生たちは寮の存続を願い、大学との対話による解決を求めている。

振り返れば吉田寮の歴史は大学創設まで溯る。1897年、京大創設とほぼ同時に京都帝国 大学寄宿舎が誕生した。しかし、 学生たちの生活態度が総長の期待に添えなかったり、大学 との対立により閉鎖、再開が続くという混乱期を経た。 1913年、寄宿舎を再構築し、現在 の吉田寮現棟が建てられた。そののちも幾度となく自治理念を持って寮を運営する寮生に対 し、寮を管理しようとする大学からの圧力で寮の存続が危ぶまれた。その度に寮生たちは大 学に対して粘り強く抵抗し、寮を守ってきた。

寮生たちは今、大学に対して静かに立退きを拒み、彼らの「自治」を貫いている。そして、かつてここに住んだ先輩寮生たちが寮を守ってきたように、新たな歴史を作ろうとしている。

野村 幹太(写真家)

 

◎会期: 2019年3月9日(土) ~ 3月31日(日)

◎会期中イベント
2019年3月9日(土) 午後6時~ (参加費無料): アーティストトークおよびオープニングレセプション

午後6時半頃〜 : アーティストトーク
ゲスト:宮西建礼(作家、元寮生)さん
吉田寮の歴史に詳しい元寮生でSF作家の宮西建礼さんに、吉田寮の話をお聞きします。

※初日9日のみ午後6時からのオープンとなります。お気をつけください。
その他会期中無休、午後1時から午後7時まで。入場無料。

◎会場: Reminders Photography Stronghold ギャラリー
〒131-0032 東京都墨田区東向島2-38-5
半蔵門線(曳舟駅)·浅草線(京成曳舟駅)徒歩5分


写真展の情報については随時Facebookにて更新しておりますので、そちらをご覧ください。

©︎Kanta Nomura

©︎Kanta Nomura

©︎Kanta Nomura

©︎Kanta Nomura

©︎Kanta Nomura


作家 | 野村幹太
京都府生まれ。同志社大学卒業後、ビジュアルアーツ専門学校大阪で写真を学び、現在は東 京を拠点に活動する。これまでペルーやコロンビアなど、南米の自然や人間にひかれ撮影を 行う。吉田寮は 2008 年ごろから撮り続け、2017年の京都国際写真祭では、撮りためた写真 を吉田寮で展示した。現在、吉田寮の写真集を作成中。