4/9午後7時〜開催!ダミーから写真集への道 ゲスト:奥山美由紀、ルル・ダアキ

©︎Shu Watanabe

RPSでは作家の作品表現の一つとして写真集の重要性を感じ、写真集制作ワークショップを通して写真集プロジェクトの発展や制作に力を入れてきました。
写真集制作ワークショップで参加者が作ったダミーがやがてアーティストブックという形となりマーケットに流通したり、世界中で開催されている写真集や写真集のダミーを対象にした賞の受賞経験などから多くの事を学んで来ました。

今回はダミーから写真集出版への道へと繋がった、ワークショップに参加した作家を招いてその経験談を共有する場を設けたいと思います。写真集づくりに興味がある方、ダミーを作って出版にチャレンジしてみたいという方、是非参考にして頂ければと思います。

皆さんはイタリアのCORTONA ON THE MOVEという国際写真フェスティバルをご存知でしょうか。このフェスティバルではPHOTOBOOK PRIZEという公募があり、写真集ダミーを対象に受賞者が決定します。受賞するとフェスティバルが写真集を制作、写真集の刊行と展示も開催されることになります。今回のゲストは二名、第二回目のPHTOOBOOK AS OBJECTワークショップに参加した奥山美由紀と先日終了したばかりの写真集制作ワークショップに参加していたルル・ダアキ。この二名をゲストに迎える理由は、その第一回目の受賞者が奥山美由紀(受賞作:DEAR JAPANESE)、そして昨年第二回目の受賞者がルル・ダアキ(受賞作:They call us dreamers but we’re the ones who don’t sleep)でした。奇しくもこの両者が東京にいる時間が重なり、折角なので、二人を招いて、ダミーを制作する段階から出版に至るまでの流れを話を聞きながら追ってみたいと思います。

写真集を作りたいという希望の声をよく聞きますが、それが叶うまでの道のりは本当に様々です。今回はこのイタリアの写真祭の取り組みを通して、実際に受賞した二人から、その様々な方法の中の一つの形を見ていきたいと思います。

日 時:2018年4月9日(月)午後7時から
およそ2時間ほど、終了後は歓談の時間となります。
会 場:REMINDERS PHOTOGRAPHY STRONGHOLD
東京都墨田区東向島2-38-5
参加費:無料
ゲスト:奥山美由紀、ルル・ダアキ
※司会進行には通訳が入ります。
※参加申し込みは必要ありません。

受賞した写真集作品について:
ゲスト①奥山美由紀「Dear Japanese
太平洋戦争中、3年半に渡る日本軍占領下の旧オランダ領東インド(現在のインドネシア)では、日本人軍人・軍属・民間人とオランダ系インドネシア女性たちの間に多くの子どもが生まれた。戦後のオランダへの引揚げ後も、彼らは敵の子として難しい子ども時代を過ごし、今でも日本人の実父を捜す人びともいる。「Dear Japanese」は、オランダ在住の日本人写真家としての個人的な視点から撮影された、戦争で生まれた日系オランダ人たちのドキュメンタリーである。

ポートレートの中で、日系オランダ人たちはレンズの向こうから私たちをまっすぐに見つめている。彼らの視線は、自分たちは誰なのか、と問いかけている。オランダ人には彼らの顔はオランダ人に見えないかもしれない。一方、日本人の目に彼らは自分たちとよく似ていると映るであろう。また、ありふれたオランダの風景は写真家自身や日系オランダ人たちにとって、見慣れない景色だったであろう。これは、日本からオランダへの移民としての個人的な視点から撮影された、海外の同国人の主観的なドキュメンタリーである。写真家と被写体たちは、日本人としての誇り、また疎外感や罪悪感などを共有することになった。

©︎Miyuki Okuyama / Dear Japanese

©︎Miyuki Okuyama / Dear Japanese

©︎Miyuki Okuyama / Dear Japanese

©︎Miyuki Okuyama / Dear Japanese

©︎Miyuki Okuyama / Dear Japanese

©︎Miyuki Okuyama / Dear Japanese

©︎Miyuki Okuyama / Dear Japanese

ゲスト②ルル・ダアキ「They call us dreamers but we’re the ones who don’t sleep」
「これはただの夢だけど、夢は実現するんだ。」(サイラス P、15歳、テヘラン)
11月のある雨の朝、8日間続いた戦闘に停戦協定が出された。停戦直前に空爆を受けた家の前に立つのは、漁師の息子のアハメッド、18歳。彼は平和な暮らしと大学進学を望むが、ガザでは夢はなかなか叶うことはない。
ガザの人びとは壁の向こうのエルサレムに行ってみたいと夢見るが、壁で分断されたこの矛盾の土地では夢はめったに叶うことはない。ゲイを装って徴兵を逃れたオムリが学ぶアートスクールからは分離壁が見える。宗教と政治的緊張の中で育ったオムリの夢は、いつかどこかで落ち着いて暮らすこと。

「They call us dreamers, but we’re the ones who don’t sleep」は、現代を生きる若者の希望と夢を見つめている。若さとは無限の可能性を孕むべきもの。アラブの春にからめてこのプロジェクトを撮影した中東および紛争地では、若者が若くあることを許されない。
独裁、西側外交政策の失敗、社会的発展の遅れに長らくとらわれていた地方では、自由はアラブの春によって破壊されてしまった。時が経ってみると、革命が目指していた理想はずいぶんと違ったものになってしまった。
このプロジェクトを始めたとき、私は若さとは無限の可能性であることを疑わなかった。だが、我々が置かれた社会、我々が育つ環境がどれほど願望というものをどれだけ条件づけているのかが分かってきた。

©︎Loulou d’Aki / They call us dreamers but we’re the ones who don’t sleep

©︎Loulou d’Aki / They call us dreamers but we’re the ones who don’t sleep

©︎Loulou d’Aki / They call us dreamers but we’re the ones who don’t sleep

©︎Loulou d’Aki / They call us dreamers but we’re the ones who don’t sleep

©︎Loulou d’Aki / They call us dreamers but we’re the ones who don’t sleep

©︎Loulou d’Aki / They call us dreamers but we’re the ones who don’t sleep

©︎Loulou d’Aki / They call us dreamers but we’re the ones who don’t sleep

©︎Loulou d’Aki / They call us dreamers but we’re the ones who don’t sleep

©︎Loulou d’Aki / They call us dreamers but we’re the ones who don’t sleep

日本語訳文責:奥山美由紀
バナー作成:渡部周