REMINDERS PHOTOGRAPHY STRONGHOLD発足に向けて

およびバンコックを引き払って東京に拠点を移すことに決めた個人的なステートメント

リマインダーズプロジェクト
後藤由美

日本を離れてから随分久しくなってしまっていました。

自分の帰る所は日本ではないといつしか決めていました。

これまで自分が日本に何をしてきたのかを顧みて、ほとんど何の役にも立っていないということに気付きました。

そう考え始めたきっかけは、昨年の東日本大震災および福島の原発事故でした。これまでの身の振り方を正し、これからは信念にたいして、命がけでいかねばならない、そのために自分が何をすべきなのかを考えて過ごしていたように思います。 おこがましいかもしれませんが、自分が日本を離れてから写真を通した活動から得た経験や知恵を活かす場所は、いまこそ日本ではないのか、と考えるようになりました。

とは言え、日本に拠点を移すことを決断するために、単に日本に居を移すということでは不十分でした。

自分にとっては「生きること」と「写真」、人生を支えているこの二つをいつも同時に出来る場所を作り出すこと、食べる、寝る、出会う、そして写真をする、その場所を作り出すこと、それは自分自身のための場所だけでなく、その場所を愛して集ってくれる人たちの拠り所でなくては意味がありません。

まずこの計画を実現するために場所が必要だということになりました。そして、構想を満たすだけの広い空間がなくてはいけませんでした。その空間で「写真」をし、その空間と繋がったもう一つの空間で「生きること」をする。東京でそういう場所を探すのは簡単ではありませんでしたが、幸運なことにその可能性を大きく秘めた運命的な場所と出会いました。

ここがおそらく自分にとっては最後の砦となると思います。そして、写真で戦うことを決意した人びとにとっても最強の砦となり、長く愛されるように、という意味を込め、REMINDERS PHOTOGRAPHY STRONGHOLDと名付けました。

そこは、フォトギャラリー、写真集図書館、国内外の写真家を受け入れるフォトグラファーインレジデンス、写真プロジェクト助成、イベント、ワークショップ、出版など、写真に関する複合的な取り組みを可能にしてくれる場所です。長年浮き草状態で活動をしてきたリマインダーズプロジェクトにようやく漂着地が出来ることになります。

2012年4月24日に長年暮らしたタイを引き払い日本に帰り、少しずつ準備を始めます。これから、みなさまには現場からの進捗状況などを報告していきますので、楽しみにしていて下さい。

2012年4月