ATLAS LAB Masterclass 2027 現実の再構築 ── ドキュメンタリー、フィクション、そして表象の政治 講師:マックス・ピンカーズ+後藤由美

2025年に初開催した、マックス・ピンカーズと後藤由美によるATLAS LAB Masterclass。
その時間は、まさに「ラボ」という言葉が示すようなものとなりました。
参加者はそれぞれ、異なる背景と段階にある進行中のプロジェクトを持ち込み、写真、テキスト、リサーチ、編集、構造、そして作品をどのような形で外へとひらいていくのかというアウトプットの可能性まで、何度も立ち止まり、問い直し、組み替えながら向き合いました。
短期間でひとつの完成形へと導くことが、このマスタークラスの目的ではありません。
自分は何を問い、なぜそれを扱うのか。
どのような立場から対象と関わり、何を選び、何を見せ、何を見せないのか。
そして、その内容にふさわしい形式とは何なのか。
作品を構成する一つひとつの判断を検証しながら、プロジェクトそのものをあらためて見つめ直していきます。
また、このマスタークラスでは、自分の作品についてフィードバックを受けることだけでなく、他の参加者のプロジェクトがどのように問い直され、変化していくのかを共有することも、大切な学びの一部と考えています。まったく異なるテーマや方法を扱う作品であっても、その検討の過程に立ち会うことが、自分自身の作品を見る視点を思いがけず動かすことがあります。
第1回を通して得られた経験と手応えを受け、2027年1月、ATLAS LAB Masterclassを再び開催します。
今回のプログラムは全4日間。前半2日間と後半2日間の間にインターバルを設けます。
前半では、マックス・ピンカーズによるレクチャーを起点に、それぞれの参加者が進行中のプロジェクトを共有します。個別のフィードバックと全体での対話を重ねながら、現在の作品が抱えている問いや課題を明確にし、その後の期間に何を検証し、何を試すべきなのかを具体化していきます。
前半と後半の間の時間も、このマスタークラスの重要な一部です。参加者は、それぞれに見えてきた課題をもとに、リサーチ、撮影、編集、構成の見直し、テキスト、試作など、自分のプロジェクトに必要な作業に取り組みます。
後半2日間では、その過程で生まれた変化や新たな問いを持ち寄り、再び個別レビューと全体での対話を重ねます。何が変わったのか、何が残ったのか、そしてその先に何を続けていくのか。それぞれのプロジェクトに必要な次の段階を探ります。
日々の内容や時間配分はあらかじめ細かく固定するのではなく、選ばれた参加者のプロジェクトや、それぞれが必要としていることに応じて構成していきます。
完成形を求めるための4日間ではなく、その先も制作を続けていくために、自分の問いと方法をより明確にするための時間です。
■ 日程
2027年1月18日(月)・19日(火)+26日(火)・27日(水)[全4日間]
インターバル期間
1月20日(水)〜25日(月)
前半で得たフィードバックや各自に設定された課題をもとに、自主制作・リサーチ・撮影・編集・再構成などに取り組む期間です。
※講師との正式なセッションはありません。
※日々の詳細な進行内容は、参加者決定後、それぞれのプロジェクトを踏まえて組み立てます。
■ 会場
Reminders Photography Stronghold Tokyo
東京都墨田区東向島2-38-5
■ 講師
マックス・ピンカーズ(Max Pinckers)
後藤由美(Yumi Goto / RPS)
■ 対象
以下のような方を対象とします。
・ドキュメンタリーまたはリサーチを基盤とした写真/レンズベースのプロジェクトに取り組んでいる方
・社会的、歴史的、個人的なテーマを扱う進行中のプロジェクトを持っている方
・作品の内容、構造、編集、語り方、作者としての立ち位置、表象の倫理、発表形式などをあらためて検討したい方
・現在の方法をそのまま完成へ向かわせるのではなく、必要であれば一度立ち止まり、問い直し、組み替えることのできる方
・他者からの批評や異なる視点を受け止めながら、自らの判断によってプロジェクトを前進させる意欲のある方
・経験やキャリアの年数は問いません。ただし、すでに何らかの進行中のプロジェクトがあり、4日間とその間の自主制作期間を通して継続的に取り組むことができる方を対象とします。
■ 募集人数
定員10名/事前選考制
応募者多数の場合は、提出されたプロジェクト内容および応募動機をもとに選考を行います。
選考結果は2026年11月末までを目安に、応募者全員へメールでお知らせします。
■ 参加費
75,000円(税込82,500円)
※参加決定後、指定期日までのご入金をもって参加確定となります。
※支払い方法および期限については、選考通過者へ個別にご案内します。
■ 進行言語
プログラムは基本的に英語で進行します。
必要に応じて日本語での補足や翻訳・通訳ツールなどを活用しながら進めます。
英語での会話が可能であることは望ましいですが、流暢な英語力そのものを参加条件とはしていません。自分のプロジェクトについて伝えようとすること、他者の考えを理解しようとすること、異なる言語環境のなかでも積極的に対話へ参加する姿勢を重視します。
■ プログラム構成(予定)
前半|1月18日・19日
・マックス・ピンカーズによるイントロダクション・レクチャー
・講師による作品・資料・参考事例の紹介
・参加者による進行中のプロジェクト共有
・個別レビューおよびフィードバック
・全体でのディスカッション
・それぞれのプロジェクトにおける課題・問い・検討軸の明確化
・インターバル期間に取り組む課題や方向性の設定
インターバル|1月20日〜25日
前半で見えてきた課題をもとに、各自で制作を進めます。
取り組む内容は、撮影だけに限定されません。リサーチ、編集、シークエンス、テキスト、資料収集、構造の再考、展示やphotobookなどアウトプットの検討、試作など、それぞれのプロジェクトに必要な方法を選択します。
後半|1月26日・27日
・インターバル期間での変化や発見の共有
・個別レビューおよびフィードバック
・編集・構成・方法論の再検討
・全体でのディスカッション
・最終共有
・今後プロジェクトを継続していくための方向性の整理
※上記は基本的な構成です。具体的な内容や時間配分は、参加者のプロジェクトや進行状況に応じて変更されます。
■ 参加にあたっての条件・準備
参加者には、以下の準備をお願いします。
・全4日間の日程に参加できること
・インターバル期間にも各自のプロジェクトに取り組む時間を確保できること
・進行中のプロジェクトについて、写真、テキスト、資料、メモ、試作などを事前に準備できること
・プロジェクトを壁面やテーブル上などで共有できるよう、必要に応じてプリント等を準備すること
・ノートパソコンおよび必要な作品データを持参できること
・Photoshop / Lightroom等、必要に応じて基本的な画像編集環境を使用できること
・Adobe InDesign等のDTPソフトの使用は必須ではありませんが、使用できる方には推奨します
・異なる視点や提案を受け止めながら、柔軟に作品を検討する意欲があること
・参加決定者には、事前準備についてあらためて詳しい案内をお送りします。
■ 応募期間
2026年10月15日(木)〜11月22日(日)23:59[日本時間]
■ 応募方法
所定のGoogleフォームよりお申し込みください。
■ 選考について
応募者が定員を上回った場合は、提出いただいた資料をもとに選考を行います。
選考にあたっては、作品の完成度のみを基準とするのではなく、現在どのような問いを抱え、プロジェクトがどの段階にあり、このマスタークラスを通して何を検討し、どのように発展させたいと考えているのかを含め、応募内容全体をもとに判断します。
選考結果は2026年11月末までを目安に、応募者全員へメールでご連絡します。
■ このマスタークラスについて
ATLAS LABは、特定の完成形や方法論へ参加者を導くための場ではありません。
講師からの提案をそのまま取り入れることを目的とするのでもなく、異なる視点を材料として、自分自身の判断をより明確にしていくことを重視しています。
プロジェクトを一度解体して考え直すこともあれば、それまで曖昧だったものが言葉になることもあります。写真を増やす必要がなくなるかもしれません。反対に、新たな撮影やリサーチが必要になることもあります。
重要なのは、この4日間だけで「答え」を出すことではなく、その後の制作をどのように続けていくのかを、自分自身で判断できる状態へ近づくことです。





■ 講師について
マックス・ピンカーズ|Max Pinckers
1988年生まれ。ブリュッセルを拠点に活動する写真家・研究者。
ドキュメンタリー写真における現実、虚構、演出、証言、作者性の関係を継続的に問い直しながら、徹底したリサーチと協働、演出、映画的な照明などを用いた実践を展開しています。
写真を、目の前の現実をそのまま複製するための手段ではなく、現実がどのように構成され、語られ、信じられていくのかを検証するための場として捉えています。
主な作品・写真集に『The Fourth Wall』『Will They Sing Like Raindrops or Leave Me Thirsty』『Margins of Excess』『Red Ink』『State of Emergency』など。研究、教育、出版活動も継続し、ドキュメンタリーという形式そのものについて実践と理論の両面から考察を続けています。前回の公式ページでも、演出や協働を通じてドキュメンタリーの枠組みを問い直す実践として紹介しています。
www.maxpinckers.be
後藤由美|Yumi Goto / RPS
Reminders Photography Strongholdのキュレーター。社会的・歴史的背景に根ざした長期的な写真プロジェクトに関わりながら、作家との継続的な対話を通して、コンセプト、編集、シークエンス、photobook、展示など、作品がどのような形をとり得るのかを検討しています。
本マスタークラスでは、マックス・ピンカーズとは異なる視点から参加者それぞれのプロジェクトに関わり、作品の背景、作者の立ち位置、編集、構造、発表形式を横断しながら、そのプロジェクトに必要な方向性をともに探ります。