「コロンビアで何が起こっているか知りたいなら、バランカベルメハに行くとい い」
首都ボゴタのジャーナリスト保護団体で 聞いたその町 へ向かった。2003年のことだった。
それ以来、2003年、2004年とバ ランカベルメ ハを撮影してきた。ひたすら暗殺の被害者を撮影しては、その遺族に話を聞いて回った。
「何故殺されなければならないのか?」
被害者の多くは無辜の市民だった。そし て彼らが殺さ れることに対して怒りを覚え撮り続けた。しかし取材を続けるにつれ、被害者を撮り続けるだけで問題の本 質に近づけるのか、疑問に思えてきた。


ならば
「何故殺すのか?」
そこに問題の本質があるのではないか。
そう思い、地元のTVジャーナリストで あるウィルソ ンに頼み込み、殺し屋とのコンタクトを当ってもらった。何人かに取材拒否をされ、諦めかかって いたところだったが、ある日ついに一人から返事があった。交渉を始めて1週間後のことだった。


その翌日、コンタクト役の男に連れてこられた民家で 待っていると、浅黒い肌をした若い男が笑顔で現れた。

「お前が日本から来たカメラマンか?ダ ニエルだ。 ムーチョグスト(よろしく)」
一人の殺し屋との出会いだった。








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