Be original(Kadir Van Lohuizenとの最近のやりとりから)

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長期でグローバルなプロジェクトに取り組むことについて ゲスト写真家:カディル・ファン・ロホイゼン、毎度のことながら長丁場のトークになったが、実際にお話しが聞けてよかった。一つの大きなテーマがあり(今回主に話の軸になったのは「移民問題」)、始める前のリサーチにもとづいて仮定したストーリーから、プロジェクトをはじめて行くなかで遭遇していく事情。一度たてた仮定が正しくないという結論になることもあり、その仮定を多くの人が望む結論だとすると、大抵の場合はその仮定のままの記事とその仮定のイメージにふさわしい写真を集めストーリーが作り出されることが多い。

彼のいう、写真家としてジャーナリストとしてオリジナルであること、独自の視点を持つこと、伝えるストーリーにたいして責任を負う覚悟をして臨むこと、そこに深い共感を覚えた。日本の写真家、フォトジャーナリストたちに思う多くのことが、この辺りの追求心の浅さだ。多くの場合は既成事実として認識されているストーリーや筋道としては仮定しやすい写真を収め、ストーリーにまとめて私たちに届けるだけで留まっている。それではダメだと思う。

あらたに遭遇した事情を検証し続けていくこと。それが大きなテーマのなかに存在する幾重ものレイヤーになっていく。Via PanAmには一年というわかりやすい時間経過の目安だけでは表しきれない、膨大な時間と労力がかけられていると感じた。見る側を圧倒する記録だった。時間内では終わらないので、何度も大きく内容を飛ばして進めなければまったく時間が足らなかった。翌朝まで時間があるなら、全部見せられるかもしれないけど、という冗談も出ながらの会だった。

現在はその辺りのレイヤーをすでに存在するアーカイブや資料などを用いて作り出す事もとても多くなっている。それは一つの手法としてあって良いと私的には思っているが、その全体をすべて自分で検証し写真家としてジャーナリストとして自らが記録して一つにまとめあげること。彼の壮大なプロジェクトは完全なオリジナルであり、まさにドキュメンタリーとは本来こうあるべきなのだと真髄を見せられた気がした。ある意味、新鮮だった。

RPS後藤由美

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彼の本3冊は図書室にもあって、この3冊とも12月に実施するフォトブックマスタークラスの講師トゥーン・ファン・デル・ハイデンによるものだ。

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Where will we goは寄贈された。あらたに図書室に入ってるので見れます。

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