鈴木萌アーティストブック「底翳 SOKOHI」販売受付中

鈴木萌 アーティストブック「底翳 SOKOHI」の予約販売受付を開始いたします。
鈴木萌は2019年に開催された写真集制作ワークショップ「Photobook as Object」に参加し、本写真集の制作に取り組んできました。
同居する父親が緑内障によりだんだんと視力を失っていく様子を目の当たりにする中、視力が失われるとはどのようなことか、その事実と本人がどう向き合っているのか、晴眼者の鈴木には容易には想像しがたいが、想像せずにはいられない父親の内面を表現した作品です。他者には見えるが父親には見えない、あるいは彼が見ているようには他者が見ることができない世界を、静かに体験するような表現を試みています。
Reminders Photography Strongholdでは本作に関連する展示「鈴木萌写真展『底翳 SOKOHI』」を開催予定です。会期は12月12日から27日までとなっております。写真集の発送は展示がスタートしてから順次発送となりますのでご了承ください。
また展示期間中は作家が在廊し、会場での写真集制作作業も進めています。
ぜひお越しください。

「底翳」(そこひ)とは、底にある翳、眼球内に潜む翳、つまり何らかの眼内部の異常により視覚障害をきたす目の疾患の俗称として江戸時代から使われてきた。そのうち、緑内障にあたる言葉は「青底翳」(あおそこひ)と呼ばれた。末期には角膜が地中海のように青緑色のようになり失明するという、ヒポクラテスの記述に語源があるとの一説もある。そうした長い歴史にも関わらず、現代の視覚障害の一番多い原因疾患である緑内障の病態は、その原因や治療法にいたるまでいまだ完全な解明がされていない。
14年前に緑内障の診断を受けた父の場合も、点眼薬や手術による眼圧のコントロールの甲斐無く、視野狭窄がゆっくりと、そして確実に進行している。昨日よりも少し暗い朝に起き、物を取ろうとする手は宙を泳ぐ。

父はかつて、ありとあらゆるものをノートに書き留める人だった。旅先で写真もたくさん撮った。50年以上にもわたる編集者としてのキャリアは、常に膨大な本と文字に囲まれていた。そんなかつての生き方とは裏腹に、緑内障により少しずつ視力を失いつつある今は、書くことも読むことももはやその意味をなさなくなってしまった。
視野が狭くなっていく自分の境地を、静かに淡々と受け入れているかのように見える父はその一方で、差し込んでくる光を離すまい、失うまい、と必死で病の進行に抗う一面をふとした瞬間に外に出すことがある。だが自分の周囲に壁をしっかりと築き、父が見えないものが見えて、父が見ているものを同じようには見ることができない他者からは単なる同情や共感を簡単には寄せつけない。
その壁の隙間からそっと覗くと、そこには、底に潜む翳の淵を時には頼りなく、しかし時には新しい認知を求める確かな足どりで、出たり入ったりする父の姿が見え隠れする。父の失明への旅は、まるで翳と光の間を行ったり来たりする波のように進んでいる。

鈴木萌 写真集「底翳 SOKOHI」
◎本文:214ページ
◎言語:日英併記
◎サイズ:189mm x 259 mm x 24mm
◎部数:76部
◎写真・編集・イラスト・印刷・加工: 鈴木萌
◎題字・アーカイブ資料提供:鈴木徹一
◎リング製本:斎藤工房
◎価格:18,700円(消費税込、別途送料についてはこちらをご確認下さい)、 全エディション署名入り
制作期間として1ヶ月程度お待ちいただく場合がございます。あらかじめご了承ください。
※尚、10/31まではpaypayのキャンペーン中につき、paypayをご利用でのお支払いをお勧めします。最大30%が戻ってきます。paypayでのお支払いに関するご案内はご注文後の返信メールにて詳しくご案内いたします。
ご連絡がなくお振込、決済の確認が出来ない場合は自動的にキャンセルとさせていただきます。
尚、発送時にはとくにご連絡をいたしません。※宅配便でのお届けとなります。
↓フォームよりご注文ください。

鈴木萌 アーティストブック「底翳 SOKOHI」見開きページより

©︎Moe Suzuki/ SOKOHI

 

©︎Moe Suzuki/ SOKOHI

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©︎Moe Suzuki/ SOKOHI

©︎Moe Suzuki/ SOKOHI

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