RPS京都分室パプロル・2022年度第4回企画展・吉田亮人 写真展「The Dialogue of Two」11/5-11/27
2022年4月にオープンしたRPS京都分室パプロルの企画展第4弾は吉田亮人 写真展「The Dialogue of Two」です。
吉田は2016年5月に写真家ヤン・ラッセルと後藤由美によって開催された写真集制作ワークショップPhotobook as objectの参加者の一人で、前作「The Absence of Two」(発表時のタイトルは『Falling Leaves』)に取り組みました。2017年、KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭で発表された「The Absence of Two」は、国内外で大きな話題となりました。「The Absence of Two」は、作者である吉田の祖母(88歳)と、いとこの大輝(23歳)の2人の日常と、大輝の突然の自死によってその日常が終わりを迎えるところまでを描いた作品です。
そしてこの度、「The Absence of Two」に続く本作「The Dialogue of Two」を発表いたします。
「The Dialogue of Two」では大輝がこの世を去った後、一人残された祖母が88歳で亡くなるまでの約2年半を追った写真群で構成されています。最愛の人間を失った者が死者とどのように向き合い、対話しながら生きていったのかを、吉田の祖母が生前、何度も何度も彼に語って聞かせた「ある話」を軸に写真集に編んだのが本作です。
写真展会場では「The Absence of Two」「The Dialogue of Two」の両世界を描きながら新作の写真集もお披露目。会期中には作家も滞在製作をし、皆さまとの対話ができるような空間を創り出します。ぜひこの機会に、展示、写真集ともにご高覧ください。皆様のお越しをお待ちしております。
写真集の詳細につきましてはまもなく情報を公開いたします。今しばらくお待ちください。
The Dialogue of Two
九州は宮崎県国富町。
この小さな田舎町に当時83歳になる私の祖母と23歳になるいとこの大輝が共に生きていました。
大輝は幼少時より祖母と同じ家、同じ部屋で暮らし、大切に育てられてきました。 青年へと成長してからも祖母と離れることなく、2人の暮らしは続きました。
そんな2人の小さな日常を私は家族として、写真家として描写し続けました。
そしてこのストーリーは、そう遠くない将来訪れるであろう祖母の死をもって終わりを迎えるはずでした。 しかし、それはある日突然、本当に何の前触れもなくやってきたのでした。 大輝はその生涯を自ら閉じたのです。23歳でした。
彼のあまりにも早すぎる死を前に私たちに残ったのは、言いようのない悲しみと悔恨の思いでした。
しかし、本当の悲しみは、最愛の孫を失い、一人残された祖母を見た時でした。 「もう生きてる意味なんかねえ。はよ、向こうに行きてえ」
毎日のようにそう呟く祖母の喪失感と絶望感は筆舌に尽くし難いものだったに違いありません。 私はその姿にカメラを向けて、悲しみを打ち払うようにシャッターを切り続けることしかできませんでした。 そんな祖母が窓辺に立ちすくんで、ぼうっと外を眺めていることが多くなってきたのはいつ頃からだったでしょう。
同時に私に何度も語って聞かせることになる「ある話」が出てきたのもこの頃でした。
それは「大輝が昨晩帰ってきた」というものでした。 まるで本当にあった出来事のように、その経緯を詳細まで語り、最後に必ず「夢じゃな い。大輝はここに帰ってきた。確かにここに」と言って終わるこの話を私は何度聞いたことでしょう。 その度に私の胸中は言葉にできない複雑な想いでいっぱいになるのでした。
そうやって大輝が不在となってから約2年半後の2016年11月18日。 祖母は88年の生涯を静かに閉じました。
最愛の人間を失ってからもその存在を誰よりも側に感じ続けた祖母。
その悲しみの深さと、祖母と大輝双方に流れる愛の深さを、手元に残された幾葉もの写真を手繰り寄せ、紡いでみようと思います。
吉田亮人
吉田亮人 写真展「The Dialogue of Two」
◎会期:2022年11月5日(土)〜 27日(日)
13:00~19:00 会期中無休、入場無料
※会期中に営業時間が急遽変更になる場合があります。その場合にはSNS等でお知らせいたします。
◎オープニングアーティストトーク: 2021年11月5日(土)午後7時~
※オンライン配信の予定はございません。アーティストトークをご希望の方は、是非会場にご参加下さい。予約等は不要です。
※オープニングレセプション、アーティストトークでの飲食の提供はございません。
※マスクの着用、手洗い、消毒等、感染拡大防止にご協力をお願いいたします。
※会期中他イベントを開催決定する場合がございます。開催の際はSNS等でお知らせいたします。
◎会場:RPS京都分室パプロル
京都市上京区老松町603 または
京都市上京区老松町七本松通五辻上る603
で検索してください。
google mapへのリンクは
https://goo.gl/maps/1V5XyJ4kfuDk91F87
最寄りのバス停:上七軒、または千本今出川
問い合わせ:paperoles@reminders-project.org