REMINDERS PHOTOBOOK REVIEW #23 ADDRESS

09/17/2015

先日図書室にユリヤ・ボリソヴァさんから寄贈して頂いた本、「ADDRESS」。久々に在京都の写真家松村和彦くんがレビューをしました。
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少女時代の自分が物語を語れれば。そう思ったことはないだろうか？男性の場合は少年時代と置き換えて考えてみてほしい。どうだろう。そのころに見た世界は今よりも鮮烈で、残酷で、そしてもっと大切ではなかっただろうか。
Julia Borissovaの写真集addressは作者がそんな少女時代の自分と対話しながら作り上げた作品だ。
鈍色の空とグレーがかった雪だるまの写真で幕を開ける。写真の中の街を粘土の動物たちが歩いている。ビルの縁は青く、木々は赤い。そして家族の暮らしを思わせる断片が所々に差し込んである。
特に心を揺さぶられるのは、薄い紙にプリントした写真が透けて次のページの写真と二重像になる工夫だ。母と娘のポートレートに写真から切り抜かれた２人の写真が重なる。どこか所在なさげだ。見開きページを挟んで父の写真の向こうに２人を切り抜いた後の写真が透けて見える。母と娘は白いシルエットで、もうそこにはいない。
そんなことがあったのだろうか。
表紙には小さな少女がうつむいてポツンとたたずむ。彼女が大人になった彼女と一緒に作った物語に耳を傾けてほしい。

松村和彦（写真家）

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この本は以下より入手可能です。
http://juliaborissova.ru/Julia_Borissova_PhotoSite/Address.html
http://www.flotsambooks.com/SHOP/PH02122.html

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