第10回RPSグラント受賞写真家 Giovanni Cocco写真展

Monia_08

© Giovanni Cocco / The 10th RPS grantee

Reminders Photography Strongholdは、第10回RPSグラントを受賞した写真家Giovanni Coccoを迎え、写真展「MONIA」を開催いたします。

あなたは立ち上がり、息をこらしている。失ってしまうかもしれない何かに怯えながら、不安そうな目で探し続けている。
僕は近づく。そうすればあなたの探しているものが分かるかもしれない。子どもの頃から、僕はいつもそうやってきたのだから。

我が姉よ。あなたがそこにいる限り、僕は見つめ続ける。心の底に流れる感情、その潮の満ち引きを。
あなたは躊躇しながら、驚きながら、そこに触れることを止めはしない。あたかも初体験であるかの様に。そこを目指すことは到達したことよりも意義があるのだと、そこに触れることは触りたいだけの欲望とは違うのだと、そこに取り残される者達がいてもよいのだと、あなたは本能で感じとっているのかもしれない。
だからこそ光と水、そして影を愛するのだろう。あなたは近づこうとする。失われていくもの達に触れようとする。僕は見つめ続ける。あなたがまだそこに居ること、失われていないという現在を。僕はあなたに夢中だ。

六年前、私は静かにこの作品を撮り始めました。プロジェクトや物語としてどの様に仕上げるのかという考えもないまま、ただ写真を撮り始めたのです。これら写真は、姉と過ごした日々、そしてそれらを伝えたいという思いの結晶です。
姉は生まれながらの障がい者です。単純な身振りや手振り、長い沈黙などが行動の特徴です。俗世間から断絶された、孤独で狭い世界。しかしそれらは空虚な世界ではありません。そこには瞬間の連続によって時間の紡がれる空間の広がりが有り、現在は未来に依存していません。
彼女を撮影することは、その行動を知ること、そして研究することの連続です。そうすることにより、彼女がこの世や私に対して何を感じ、何を求めているのかを理解しようとしているのかもしれません。
私と彼女が関わることで出来上がったこれらの写真は、彼女がこの世と関わろうとする為の仕草や視線を見せる為だけのものとして完結することはないでしょう。
いつか彼女は私の人生の一部となり、私が彼女を観察し、愛する様に、彼女の人生にとっても私と過ごす日々はなくてはならないものとなります。
彼女の物語や人生が、この世で偶然にも深入りし合うことになってしまった人間同士の喜び、そして苦しみを伝えるきっかけになればと思っています。

会期 2016年4月9日(土)〜 4月23日(土)
午後1時〜午後7時(会期中無休)
オープニングレセプション及びアーティストトーク:2016年4月9日(土)午後4時から
写真集「MONIA」の販売もございます。遠方の方向けにもご注文受付を予定していますので、今しばらくお待ちください。
会場 Reminders Photography Strongholdギャラリー
東京都墨田区東向島2-38-5
入場料無料
Facebookのイベントページはこちらです。

写真家プロフィール
Giovanni Cocco
1973年生まれ。イタリア・スルモーナ出身。人類学的な見地から故郷であるアブルッツォ州を撮影していた若き日々を経て、社会的・環境的な報道写真の道へと転向していく。これまでにも数々の国際ニュース雑誌などで作品を発表している。2010年から2012年にかけてはVII Mentor Programに参加。姉や家族を6年以上にも渡り追い続けている長期的社会派写真プロジェクト”MONIA”を進行中。2011年、同プロジェクトでBurn Magazine・Magnum Foundationの主催するEmerging Photo Grantで二位に選ばれる。
http://www.giovannicocco.it/bio/
http://www.giovannicocco.it/home/
日本語訳文責:藤元敬二(写真家)

◉グラントについて

RPSに企画展を提案して頂き、 RPS審査委員会の審査を通過された方に、RPSギャラリースペースを、5日以上(最高20日まで)無償でご利用いただけます。
対象:写真家、キュレーター、ギャラリスト、ほか、
*RPSギャラリーの広さは90平方あまり、自主ギャラリーとしては都内でも有数の面積をほこります。
*RPSギャラリーを利用しての企画展開催にあたっては、RPSのグローバルなネットワークをフル活用し、世界に向けて、写真家及び作品の広報活動展開をお手伝いします。
*プリント、額装、運搬、保険加入等にかかる費用などは企画提出者による負担になります。
*この展示企画でグラントを受けることになった方はRPSレジデンシーに自動的に5日間まで無料で宿泊出来ます。
*写真展を企画として提出する場合はプリント、額装、輸送費などは企画提出者による負担になります。
更なる詳細はこちら→https://reminders-project.org/rps/grantjp/

10TH RPS GRANTEE ©GIOVANNI COCCO

© Giovanni Cocco / The 10th RPS grantee

Monia_06

© Giovanni Cocco / The 10th RPS grantee

Monia_05

© Giovanni Cocco / The 10th RPS grantee

Monia_09

© Giovanni Cocco / The 10th RPS grantee

Monia_03

© Giovanni Cocco / The 10th RPS grantee