【連載企画 Artist Voice】:林田真季 ISSPレジデンシープログラム滞在レポート②

RPSのワークショップや企画展、年間のメンターシップを経験した作家が、国内外のあらゆる写真関係の取り組みに参加し得たレポートを不定期で連載していきます。連載ではとくに、作家それぞれの経験が今後のRPSとの将来を見据えたコラボレーションにも繋がる可能性があるものを主に取り上げてご紹介していきます。
今回は先頃ラトビアで開催されたISSP(International Summer School of Photography)のレジデンシープログラムに参加した林田真季の滞在レポートをご紹介します。林田はメンターシップを通して取り組み続けてきたプロジェクトでレジデンシーに参加。今後更に発展させ、来年2019年度夏頃に企画展および本の刊行を予定しています。

ISSP(International Summer School of Photography)は、夏の時期に毎年開催されている9日間のプログラム型ワークショップです。ラトビアと聞くと日本ではあまり耳馴染みのない国かもしれませんが、北海道東川町国際フェスティバルでも関連プログラムとして派遣オーディションを開催していたこともあり、毎年日本からも作家が参加しています。世界各国から選ばれたマスター達によるコースが用意されており、それぞれのワークショップを経て、最終日には成果発表なる展覧会を行うという内容。その中でもResidencyコースは今年新たに開設されたもので、参加者が各々のプロジェクトを自由に進めて、適宜マスターからアドバイスをもらい発展させることができます。

Part1では林田がISSPの参加に至るまでの経緯、新作について取材したものをまとめており、Part2では彼女自身による手記でラトビアへの滞在・ISSP参加記録の日々を日記形式でご紹介いたします。

©International Summer School of Photography

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2018年3月

新設された「Residencyクラス」希望で、今年のISSPの応募を決める。
通常のISSPのクラスは、マスター(先生)が率いるワークショップ形式のプログラムだけれど、
このResidencyクラスは、基本は参加者が各々のプロジェクトを自由に進めて適宜マスターからアドバイスをもらえるというもの。
しかも、ISSPのキャンパスにはプリントラボがあって、それも自由に使えるらしい。
そして、今年はPhotobook Makingクラスのマスターとして、Jan Rosseelさんと後藤由美さんも参加する。
昨年から進めているダミーブックの発展に、これほど抜群の環境はないはず。

2018年4月に制作したダミー©Maki Hayashida

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5月11日(金)

ISSP 2018の参加通知を受ける。
希望通りのResidencyクラスでの参加。
とりあえず、費用の振込とか、航空券とか、急ぎ調べる。

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6月16日(土)

ISSPに向けて、発展させたダミーを由美さんに見てもらう。
これまでのダミーは、ポートフォリオレビューなどで「ストーリーがよく分からない」と言われていたので、それを改善するために、自分なりに大幅に修正したもの。
でも、この日の相談を受けて、今のままではまだ全然伝わらないことが判明。
さらに大幅に変更することにする。

今日、決めたこと。
・冒頭部分に使う写真を、まるごと変える。
・メインコンテンツ部分の体裁は、観音ページを基本にする。
・アーカイブ写真は、全て観音の中のページに入れて隠す。
・アーカイブ写真の掲載順は、時系列にする。
・薄めの紙を使い、裏面が透けて見せるようにする。

大変だ。。

 

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6月17日(日)

ISSPに向けて、天糊製本を習いに行く。

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7月16日(月)

コンテンツがほぼ固まったので、ISSPに持っていくダミー用の印刷をする。
どの紙を使うかまでは検証できず、とりあえず無難な白い紙に印刷。
紙の検証はISSPでやることにする。
そのためには、候補の紙をラトビアまで持って行かなければ。

紙を急いで注文。

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7月22日(日)

朝からダミーの製本。
なんとか間に合った。
まだ修正が必要なところには付箋を貼っておく。

ISSPに持っていくために新たに製本し直したダミー©Maki Hayashida

©Maki Hayashida

その後は急いで荷造り。

 

手持ちで持って行くもの。
・Mac Book
・Nikon D3300
・パスポート
・ラトビアのガイドブック
・文庫本

スーツケースに入れるもの。
・ダミーブック 2冊
・A3印刷用紙
・ボール紙
・A4用紙 いろいろ
・定規
・カッターマット
・製本ヘラ
・ボンド
・でんぷんのり
・絵の具
・筆
・クランプ
・製本に使う板
・今回の作品の2L判紙焼き写真 一式
・着替え 10日間分
・バスタオル
・タオル
・洗面用具
・ビーチサンダル

現地で洗濯できても、その時間がもったいないかもしれないから、洗濯しなくてもよいように持って行く。ビーチサンダルはドミトリーの共同シャワーでの必需品。
スーツケースはかなり重い。

2L判紙焼き写真©Maki Hayashida


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7月26日(木)

最後のパッキング。
追加で注文した紙も届く。
持っていくA3の印刷用紙は、純白ロール紙の斤量違いで2種類を100枚ずつ。
スーツケースはさらに重くなる。

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7月27日(金)

 

©Maki Hayashida

成田発、ヘルシンキ経由でリガへ。

午前中に日本を発つ。
ヘルシンキからはプロペラ機。
こじんまりとしたリガの空港に着いたのは、午後6時を過ぎていた。

空港からはローカルバスでリガ市内に向かう。
今晩のホテルはバスの停留所から大通りを渡ればすぐなんだけど、横断歩道がない・・・!
あるのは、階段の地下道。スロープなし。
しかも歩道は石畳で、「HEAVY」と貼られてしまったスーツケースが全く進まない。

©Maki Hayashida

タクシーにすべきだった。
道行く人々に助けてもらいながら、汗だくになって、なんとかホテルへ。
ラトビアの人はやさしくてよかった。

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7月28日(土)

ISSP1日目。

リガ市内で集合し、ISSPの行われるクルディーガ州まで、専用のバスで移動する。
11頃に出発して14時くらいに着いたから、3時間くらい。

©Maki Hayashida

受付をすませてランチを食べたら、ISSPのキャンパスとなるお城の前で開会式。
マスター(先生)と参加者が紹介される。
参加者の出身国は世界5大陸を網羅していて、その名の通りインターナショナル。

全体の開会式が終わったら、各クラス毎での顔合わせをする。
私のResidencyクラスは、マスター3人と参加者13人で、
参加者はこのレジデンシーで何をしたいかを簡単に自己紹介。

©Maki Hayashida

夕方は、全員でクルディーガ中心街の観光へ。
古い木造建築が保存されている小さな町は、とてもかわいい。
ISSPのキャンパスのある場所はPelčiという町でクルディーガ中心街まではバスで20分ほどかかるけれど、ISSP参加者はこのバスを無料で利用できるから、またゆっくり来ようと思う。

ディナーの後は夜のプログラムで、写真に関するクイズ大会。
時差ボケで全く頭が働かなかった。22時でもまだ外は明るくて、不思議な感じ。

©Maki Hayashida

©Maki Hayashida

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7月29日(日)

ISSP2日目。

©Maki Hayashida

Residencyクラスは、参加者がそれぞれ取り組んでいるプロジェクトを発表し、
マスターとクラスメートからフィードバックをもらう。
ひとり1時間ずつくらい。

私はここで、日本で作ってきたダミーの最新版を見せる。
紙の種類と表紙まわりがまだ仮で、それをISSP期間中に完成させたい、とプレゼン。

日本人ではない人がどのような反応をするのか、ちゃんとストーリーが伝わるのか。
最悪、一からやり直すことも考えて、紙焼きの写真も全て持ってきていたけれど、
皆のコメントは「Keep going」。

よかった。
このまま予定通り、制作を進めることにする。

それにしても、カフェテリアのごはんが美味しくてよかった。
1日3食出してくれるのは、制作に集中できてありがたい。

ディナーのメイン。チキンとジャガイモと、なぜかパイナップル。©Maki Hayashida

冷たい野菜のスープ。豆も入っていてボリューミー。ランチにはいつもスープがついていた。(スープはラトビア料理で重要のようで、おそらく日本の味噌汁みたいな感じ??)©Maki Hayashida

©Maki Hayashida

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7月30日(月)

ISSP3日目。

昨日でResidencyクラス参加者全員のプロジェクト発表が終わらなかったので、午前中はその続き。
他の人の作品やそれに対する反応も、とても勉強になる。
私ももっと自分の意見を英語で伝えられるようになりたい。

午後は、ポートフォリオレビュー。
3人のレビュワーに、最新ダミーを見てもらう。
そのうちひとりは、大好きな写真家Alexander Gronsky
伝えようとしていること、そのための本の構成、そして私の写真そのものも、肯定してくれた。
彼のランドスケープ写真の在り方は目標としてきたことのひとつなので、すごく嬉しい。
自信を持って、予定通り制作しようと確信。

5人部屋のドミトリー生活にもだんだん慣れてきた。
時差にはまだ慣れないけれど。

©Maki Hayashida

©Maki Hayashida

©Maki Hayashida

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7月31日(火)

ISSP4日目。

Residencyクラスは、今日から個人で自由に制作活動を行う。

私は昨日、ダミーを見せたJanから具体的な修正アドバイスをもらったので、まずはその修正作業。
指摘された写真のレイアウトを変更していく。
そして「要らない」と言われた写真は、思い切って削除。
より分かりやすくなった。

表紙についてもJanからアイデアをもらったけど、その材料がないので、一旦保留。
午後からは、ダミーのプリントを始めることにする。

設備が整っているISSPのラボ©Maki Hayashida

©Maki Hayashida

ISSPのキャンパスにあるラボは、プリンターだけでなく、カッティング作業台などが整っている。
しかもテクニカルスタッフが常にいるから、機材トラブルがあっても安心。

日本から持ってきたの紙のうち、まず斤量の重いほうを使って、インクジェットプリンターで印刷を始める。印刷はきれいなんだけれど、意外と時間がかかる。
裏表で、枚数も多いし。
午後はずっとラボにひとりこもって、1冊分の印刷が完了。
この印刷したものを見ながら、レイアウトを微修正していく。

ディナーの合間に、由美さんにも見てもらう。

©Maki Hayashida

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8月1日(水)

ISSP5日目。

まだ時差ボケが抜けず、早朝に起きてしまう。
ラボが空いたらすぐ印刷を始めたいから、朝食までの時間にPCで修正作業。
昨晩の由美さんからのアドバイスも反映させる。

午前中は、持ってきていた斤量の軽いほうの紙での印刷を開始。
昨日はプリンターが貸し切り状態だったけれど、
今日は印刷したい人がチラホラやってくるので、プリンターを譲りながら印刷する。

結局、1冊分印刷するのにほぼ1日かかった。

©Maki Hayashida

プリンターの待ち時間は、Photobook Makingクラスをのぞきに行ったり、
近所のミニショップにおやつを買いに行ったり。
ラトビアも日中はとても暑いから、ほぼ毎日アイスクリームを食べていた。

©Maki Hayashida

夕方は、Residencyクラスで集まって、これまでの進捗報告会。
土曜からクルディーガ の町で行われる「ISSP成果展」に参加するかどうかも決める。
私は作った本を展示したいから、もちろん参加。

その後マスターの3人に、まだ製本はしていない、折っただけのダミーを見てもらう。
紙の斤量違いでの2冊を見せたところ、満場一致で「薄いほうにすべき!」と。

そうなんだ。

薄いほうの紙は裏の写真が透けすぎる気がしたので、自分だけだったらこの斤量を選べなかったと思う。
紙を2種類持ってきて、とても良かった。

©Maki Hayashida

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8月2日(木)

ISSP6日目。

朝からラボにこもって、製本作業。
何でも揃っているラボだけど、裁断機だけはないから、1枚ずつ丁寧にカットして行く。
今日中に製本は終わらせないと提出物も展示も間に合わないし、今晩は私のプレゼンもする日なので、その資料を夕方までに作らないといけない。

やること満載。

何とか午前中に裁断作業は終わって、1冊目の糊を乾かしている間にさっとランチを食べに行く。
戻ってきたら、2冊目の糊を乾かしつつ資料作成。
糊が乾くころには、無事プレゼン準備も整った。

一息ついたら、製本したダミーを持って、マスターに表紙まわりの相談をしに行く。
いろいろヒントをもらって、イメージが沸いてきた。
実際に印刷してみないと分からないから、またラボに戻って夕食の時間までに早速何パターンか作ってみる。

その後、キュレーターチームと成果展の打ち合せ。
今年のISSPではキュレーターのためのクラスも新設されていて、
成果展の展示プランは、このクラスの参加者と一緒に進めていく。
クラス毎に、担当キュレーターがふたり。
私たちのResidencyクラス担当のひとりはポーランドからの参加者だったけど、
彼はなんと香川県で滞在制作をした経験があって、豊島のこともよく知っていた。

「本の紙が面白いから、その紙を使って、たくさん壁に貼るのはどう?」

私はこの時までとにかくダミーを作ることだけにいっぱいいっぱいで
成果展も本さえ置いておけばいいやと思っていたけれど、
このキュレーターチームからのアイデアで、壁面展示もやってみようと思う。

夜のプレゼンでは、今まで作った写真集と、今取り組んでいる写真集のことを、10分程度で紹介。
さすがに豊島を知っている人はいなかったけれど、直島は知っている人がいて、声をかけてくれた。
毎日ドミトリーとキャンパスとカフェテリアの往復だから、ISSPスタッフの赤ちゃんとネコが癒し。

©Maki Hayashida

赤ちゃんはたくさん愛嬌を振りまいてくれたけど、黒猫は怒らせてしまった…それでも可愛い。©Maki Hayashida

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8月3日(金)

ISSP7日目。

おそらくISSPの期間で最も佳境な日。
16時までに最終成果物を提出しなければならないし、成果展のプリントも今日中に終わらせなければならない。

まずラボが空いたら、ダミーのカバーの制作作業。
昨日何パターンか作ったけど、どれもしっくりこなくて、
またいろんな人にアイデアもらいながら修正したものを、朝から印刷して作ってみる。
やっとそれなりに満足したものができた。

©Maki Hayashida

©Maki Hayashida

最終成果物としては、ダミーの写真と動画を提出したいので、カバーができたら、急いでダミーの撮影に取り掛かる。16時までの提出にぎりぎり間に合った。

この時点で、展示用のプリントはまだ手付かず。

17時からはResidencyクラスで集合がかかっていて、それが終わるともう夕食の時間。
昨日は作業をしてたら食べ逃してしまって、腹ペコで辛かったから、何が何でも食べに行く。
ルームメイトでPhotobookクラス参加者のキャサリンは、気分転換したいとひとり外に夕食を持ち出していた。

みんな疲れがたまってきている。

©Maki Hayashida

夕食の後はまたラボにこもって、ひたすら展示用のプリント。
荷物も減らしたいから、余った紙はすべて展示用に使うことにする。
21時くらいには無事終了。

 

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8月4日(土)

ISSP8日目。

それぞれの作品に合わせて展示作業を進めていく©Maki Hayashida

午前中から、クルディーガ 中心街にある成果展の会場で設営。
展示用の壁や小物は、すでにキュレーターチームが用意してくれていた。

行き当たりばったりで、1枚ずつ壁に貼って調整しながら進めていたら、
「壁に貼る前に、まずは床で全体のレイアウトを作りなさい!」
と、キュレータークラスのマスターからダメ出し。
半分くらい終わっていたけれど、一からやり直しする。
その後も所々でマスターのチェックを受けつつの設営で、10時くらいから始めて、終わったのは16時頃。
思ったより時間はかかってしまったけど、満足するものができた。
ひとりだけだったら、ここまではできなかったと思う。

アドバイスを受けて床にレイアウト©Maki Hayashida

©Maki Hayashida

©Maki Hayashida

 

©Maki Hayashida

©Maki Hayashida

©Maki Hayashida

©Maki Hayashida

展示のオープニングは19時。
Residencyクラスは18時に絶品ピザ屋さんで集まることになっていたから、
それまでの2時間で、やっとクルディーガを観光する。。

オープニングには思いの外たくさんの方が来ていて、とても賑やか。
ラボで印刷しているときに興味を持ってくれた参加者も結構いたので、いろんな人にダミーを見てもらった。私から説明をしなくても、なんとなくのストーリーはちゃんと伝わっている。

よかった。

それにしても、ほとんどの人が「紙」に興味津々。日本の紙はすごい。

夜は屋外で最終成果物のスライドショーだったけれど、途中から大雨で避難。
ちょっと残念だった。

©Maki Hayashida

絶品ピザ。ひとり1枚ずつ注文。みんなペロリと食べていた!私はギブアップ…ごめんなさい。©Maki Hayashida

雨雲の到来©Maki Hayashida

 


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8月4日(土)

ISSP8日目。

私はすぐ帰ってしまったけれど、昨晩は深夜遅くまでパーティもやっていたらしい。
朝食の時間もいつもより遅く、ゆっくりな一日。
今日はもう制作をしない。
お昼に総括的なものをやって、修了証をもらう。

ピクニックを楽しんで、夕方、バスでリガ市内へ向けて出発。
21時頃にリガに着いて、別れを惜しんでいたら、急にどしゃぶりに。
それぞれの宿へ散り散りになってしまった。

©Maki Hayashida

ラトビア名物⁈のビーツの冷たいスープ。私の大好物に仲間入り。©Maki Hayashida

©Maki Hayashida



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8月5日(日)

リガ発、ヘルシンキ経由で成田へ。

午前中はリガ旧市街を観光していたら、ISSPの参加者に偶然会った。
なんだか嬉しい。

13時頃にリガの空港に着いたら、ここでも知った顔がたくさん。
どうやらパリ行きのフライトも同じくらいの時間らしい。
ハグをし合って、最後のお別れ。

たった1週間だったけれど、濃い時間を過ごしたから、参加者の顔はほぼ分かる。
特に私は、日本から持ってきた紙が皆の注目の的だったから、いろんな人に作品も覚えてもらえた。
重い荷物を持ってきた甲斐があった。本当に。

とても充実していた夏休み、さようならラトビア。

レジデンシープログラムの仲間たちと©Maki Hayashida

最後はISSP参加者たちと記念撮影©Yumi Goto

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<ISSPを終えて>

ISSPの最終日に『The Future of Photography』というテーマでのディスカッションがあって、様々な議論が飛び交っていたのだけれど、「写真家は、伝えたい意欲があるかどうか」という意見がとても腑に落ちた。ISSPではマスター・参加者によるたくさんの写真プロジェクトに触れることができて、私に興味のあるテーマ・ないテーマ様々だったけれど、伝えたい意思が明確な作家やプロジェクトはたとえ興味がなくても惹きつけられるものがあった。また、個人的に世界の写真家たちがどのように暮らしているのかに興味があったので、できる限りの参加者にバックグラウンドを聞いていた。普段から写真で稼いでいる人もいたけれど、私のように他の仕事をしながら作家活動をしている人もたくさんいて、誰もがお金や時間の悩みを抱えていると分かった。だから余計に「伝えたい意欲」が何よりも重要。そして、私自身は日本のことを伝えたいんだ、と改めて気付くことができた。

”決して「美しい」と言ってはいけないけれど、美しい。”

本の装丁に惹かれてダミーを手に取り、ストーリーに興味を持ってくれたほどんどの方がこう言った。
この言葉は今、私がこのプロジェクトを続ける大きな原動力になっている。

 

文責・写真:林田真季
企画編集:小池莉加

 

ISSP(International Summer School of Photography)

開催日程)2018年7月28日〜8月5日

場所)Pelči, Pelči parish, LV-3322, Latvia

 

こちらのリンクから、2018年度の各コース最終成果の様子がご覧になれます。

 

林田真季 Maki Hayashida

1984年生まれ。兵庫県出身。東京都在住。

関西学院大学総合政策学部卒業。

2014年Reminders Photography Stronghold主催の写真集制作ワークショップで手がけた手製写真集「JAPAN-GOROUND」が海外からの評価を受け、本格的な写真活動を始める。六甲山国際写真祭2015にて、Emerging Photographerに選出。2016年シンガポール国際写真フェスティバル展示作家。