第20回グラント受賞作家イオアンナ・サケララキ写真展「The Truth is in the Soil」8/20-28まで

この度、第20回Reminders Photography Strongholdグラントを受賞したイオアンナ・サケララキ「The Truth is in the Soil」の写真展を開催いたします。2019年6月に申し込みが締め切られた第20回Reminders Photography Strongholdグラントでは9名の審査員(ペギー・スー・アミソン、アレクサ・ベッカー、マリー・レリーヴル、トゥーン・ファン・デル・ハイデン、ステートン・ウィンター、アンドレイ・ポリカノフ、エリック・ブルーン、エメリン・ヤング、ジュゼッペ・オリヴェリオ)によってイオアンナ・サケララキの同作品が選ばれました。

会期中は作家本人も来日し、トークイベントや同タイトルの特典付き写真集の販売も予定されています。詳細は後日SNS等で発表いたしますのでぜひご期待ください。

会期中、皆様のお越しをお待ちしております。

©︎Ioanna Sakelleraki / The Truth is in the Soil / the 20th RPS grantee

The Truth is in the Soil(真実は土の中にある

イオアンナ・サケララキは、フィクション、コラージュ、アーカイヴを用い、写真を存在論的な提案として位置づけるコンセプチュアルな創作活動を行なっている。時間と空間の領域を行き来したり、個人的な悲しい経験がいかに記憶と記憶の喪失を通じた普遍的な旅となるのかを探りながら、一つのイメージが現実を記録するだけでなく、いかに私たちの知覚を無限に拡張する能力をもっているかについて探求をしている。

「The Truth is in the Soil」は父親を喪ったことにたいする悲しみ、そしてギリシャにおいて失われつつある喪の伝統への哀歌として「喪失」を5年間に渡って探った作品である。父との死別という個人的な経験の後、サケララキがその喪失を受け入れるプロセスは、ギリシャ社会における集団的な喪失、祖先の中で受け継がれてきた様々な伝統儀式、私的なトラウマ、時間の経過などをリサーチするためのレンズとなった。さらに、ギリシャのマニ半島に存在し、現在では途絶えつつある「泣き女」の伝統を持つ集落からインスピレーションを受けながら、死を受け入れるために新たな視点からの親密さ、主観性、批判や埋葬の儀式などを探っていった。彼女にとって、作品のイメージは、生命力、繁栄、帰属意識といった失われた理想を弔うための手段であり、死が存在しうる空間を作り出すことで、写真に映し出された被写体以上の何かを伝えようとしている。

一連の作品は作者の父の死後発見された、これまで誰も目にすることなくしまわれていたアーカイブ写真や、祖母による伝統的な手縫いの刺繍などで物語の結末を迎えると同時に、そこから次作「The Interval of Unreason」が形作られ始める。静寂に包まれたアーカイブの中で、サケララキは、彼女の目の前に残されたシーツの上、箱の中、きれいなテーブルの上などに、生命の質感を掴もうとする。ギリシャ・パトモス島の星空と荒涼とした風景の中で、彼女は船乗りであった父の冒険を解きほぐし始めるのだ。

アナログとデジタル両方のプロセスを通じて、彼女は現実として記録されたものにさらなるレイヤーを追加し、既存の空間と想像の空間を行き来する道へと観者をいざなう。山並みを見つめる泣き女のシルエットは、風化しひび割れてもろく見える一方で、他のイメージは切り取られ、印をつけられ、再び組み立てられ、過去と現在を融合している。そして白黒からカラーへ、抽象的なものから具象的なものへと変化するイメージは一貫した視覚性を持つ。生きる人々の心の中で亡き人が少しずつ、不可逆的に失われていくのと同時に、記憶の再構築がされる様子を視覚的に表現するものとして存在している。

イオアンナ・サケララキ


イオアンナ・サケララキ写真展「The Truth is in the Soil」

◎会期:2022年8月20日(土)〜8月28日(日)
午後1時〜午後7時(会期中無休)
◎オープニングアーティストトーク:8月23日(火)午後7時〜
◎関連イベント「写真家と写真集出版について語る日」ゲスト:イオアンナ・サケララキ、髙木佑輔、鈴木萌:8月27日(土)午後7時〜
◎会場 Reminders Photography Strongholdギャラリー
東京都墨田区東向島2-38-5
◎入場料無料 / 事前予約不要
※コロナ感染症に対する日本の水際対策により作家が来日できない場合は、開催が延期となる場合がありますのでご了承ください。

◎写真展開催に合わせて同作写真集「The Truth is in the Soil」の特典付き販売も行われます。

RPSグラントについて
RPS に企画展を提案して頂き、 RPS 審査委員会の審査を通過された方に、RPS ギャラリースペースを5 日以上(最高20 日まで) 無償でご利用いただけます。
対象: 写真家、キュレーター、ギャラリスト、ほか。

写真展の最新情報についてはこちらのFacebookイベントペーにて随時更新しておりますのでご覧ください。

 

©︎Ioanna Sakelleraki / The Truth is in the Soil / the 20th RPS grantee

©︎Ioanna Sakelleraki / The Truth is in the Soil / the 20th RPS grantee

 

©︎Ioanna Sakelleraki / The Truth is in the Soil / the 20th RPS grantee

©︎Loanna Sakelleraki / The Truth is in the Soil / the 20th RPS grantee

©︎Ioanna Sakelleraki / The Truth is in the Soil / the 20th RPS grantee

©︎Ioanna Sakelleraki / The Interval of Unreason / the 20th RPS grantee

©︎Ioanna Sakelleraki / The Interval of Unreason / the 20th RPS grantee

©︎Ioanna Sakelleraki / The Interval of Unreason / the 20th RPS grantee

©︎Ioanna Sakelleraki / The Interval of Unreason / the 20th RPS grantee

プロフィール | Ioanna Sakellaraki(イオアンナ・サケララキ)

1989年、アテネ生まれのアーティストで研究者。集団での文化的記憶とフィクションとの関係を研究しながら作品を制作。写真の対象、プロセス、出会いに重点を置き、場所や人々のビジョンの中にある原始と未来の境界線を探求している。ロイヤル・カレッジ・オブ・アートの写真修士課程を卒業後、博士課程奨学金を授与される。The Royal Photographic Society Bursary Award 2018を受賞し、Sony World Photography Awards 2020のStudent Photographer of the Yearに選出される。2019年、Reminders Photography Stronghold Grant in Tokyo、International Photography Grant Creative Prizeを受賞。ノミネート歴に、米国マグナム財団のインゲ・モラース賞、フランスのPrix HSBC、Prix Levallois、Prix Voies Offなどがある。作品は国際的なアートフェスティバルやギャラリーで展示され、最近ではベルファストのExposed GalleryやベルリンのEuropean Month of Photographyで個展が開催された。The New Yorker、Aesthetica、Wallpaperなどの雑誌、The Guardian、Financial Times、Deutsche Welleなどの雑誌で紹介され、マーティン・パー財団やロンドン写真協会にゲストスピーカーとして招かれている。初の写真集となる「The Truth is in the Soil」はGOST Booksから出版された。