6/18 午後7時から 【写真家と写真集をレビューする日】ゲスト:千賀健史

来る6月18日(土)午後7時より、現在開催中の写真展「Hijack Geni」の作家・千賀健史氏をゲストに「写真家と写真集をレビューする日」を開催することとなりました。

写真展「Hijack Geni」にあわせて刊行された、612ページ、重量2kgもの写真集「Hijack Geni」についてお話しいただきます。テーマであるオレオレ詐欺などの特殊詐欺と、この犯罪を生み出す複雑な社会構造がどのように写真集の中で表現されているのかを、写真展の空間にいながらくわしく
聞くことができる貴重な機会です。ぜひご参加ください。

※本イベントのオンライン配信はありません。参加を希望される方はギャラリーに直接ご来場ください。ご予約の必要はありません。

©︎ Reminders Photography Stronghold

©︎Kenji Chiga/ Hijack Geni

◉トークイベント「写真家と写真集をレビューする日:ゲスト・千賀健史」

日時:2022年6月18日(土)午後7時〜
会場:Reminders Photography Stronghold
ゲスト:千賀健史
司会進行:後藤由美(RPSキュレーター)
※参加申し込みは特に必要ありません。
※ギャラリーでの開催となり、オンライン配信はありません。参加ご希望の方はギャラリーに直接ご来場下さい。
※ギャラリーでは千賀健史写真展「Hijack Geni」(6/11-6/26)を同時開催中です。トークの前にご観覧いただくなど、展示と写真集をあわせてお楽しみください。

イベントに関してのアップデートは随時、FBイベントページInstagramTwitter等でご確認下さい。



写真集「Hijack Geni」について(※現在発売中)

水に浸かった紙はあっという間にほろほろと崩れだし、さっきまでそこにあった姿はもう記憶の縁でゆらゆらと変化している。そこにあったのは一体何であったのか。

2003年、いわゆるオレオレ詐欺が世の中に知れ渡りだした頃、この犯罪はいわゆる裏社会の人々によって行われていた。それが今や犯罪とは無縁に生きてきた”一般人”がその要ともいえる存在となってしまっている。

詐欺といえばそもそも一部の暴力団では、外道の行いとして禁止されていたような犯罪である。それを、”仕事”として行うものが後を絶たない現代社会は極めて異常である。

2019年、数々のルポやインタビューを読みながら加害者側の置かれている状況や心理について共感するものを感じながらも遠くで起きている物語として受け止めていたのだが、ある日、両親と話していて母親が特殊詐欺グループのターゲットである事を知ることで、自分の中で被害を受ける者としての矛盾する気持ちが生まれ始めた。

2020年、撮影期間中は詐欺グループの一員のような日々を過ごしていた。隠れ家に使えそうなホテル、オフィス、カラオケボックスを巡り、詐欺電話がかかってきている地域をウロウロしたり、コインロッカーからコインロッカーへ荷物を運んでみたり、犯行に必要な道具を買い集めてみたり、高齢者に会いに行ったり、電話をしてみたり、ATMで30万円おろしてみたり。実際に犯罪行為をしているわけでもないのに、やたらと人の目が気になり緊張した事をよく覚えている。何が真実で何が嘘か、段々と分からなくなっていった。

2021年、詐欺グループがさまざまな役割を演じるように、自分の顔を元に90名の高齢者と若者の架空のポートレートを作成した。

自分であって、自分でないその人物はまるで本当に存在しているようで、彼らの仮名を考えている間にその人物像はますますリアルになっていった。
そうして本作中のイメージを水溶紙に印刷して、溶かし、全て無かったことにしているとなんだか少しホッとした。詐欺グループも証拠隠滅している時はそんな気持ちだったかもしれない。

2022年、そうして出来上がった矛盾と嘘の塊が本作である。

想像の中で私は加害者であり、被害者でもあったが、現実では第三者である。溶けて見えなくなってしまった彼らを包摂する水だ。ゆらゆらと揺れる私たちの中に見えるものはなんだろうか。
千賀健史

千賀健史 写真集「Hijack Geni」

◎部数:90部 ※通常版とプリント付き特装版の2種をご用意しています。
◎ページ数:612ページ
◎サイズ:197mm x 262mm x 48mm
◎重さ:2kg
◎言語:日英併記
◎写真・編集・印刷・装丁: 千賀健史
◎コンセプト、ストーリーライン、アートディレクション:後藤由美(リマインダーズフォトグラフィーストロングホールド)

 

©︎Kenji Chiga/ Hijack Geni

©︎Kenji Chiga/ Hijack Geni

©︎Kenji Chiga/ Hijack Geni

©︎Kenji Chiga/ Hijack Geni

©︎Kenji Chiga/ Hijack Geni

©︎Kenji Chiga/ Hijack Geni