第13回 グラント受賞写真家マグダ・ビールナットの「Adrift」展開催
第13回 Reminders Photography Stronghold グラント受賞者、マグダ・ビールナットの「ADRIFT」展を開催します。ビールナットは2016年4月に締め切られた応募の中から、ペギー・スー・アミソン、ステートン・ウィンター、エンリコ・ボッサン、トゥーン・ファン・デル・ハイデン、マリー・レリーヴルの5名のRPSグラント審査員たちによって選ばれました。作家本人も来日、展示作品も含まれている写真集の販売なども予定されております。是非、期間中にお越し下さい。
「ADRIFT」は、正反対の比較の手法としての視覚的言語を使ったプロジェクトだ。南極の氷山の写真と放棄されたイヌピアト・エスキモーの狩猟小屋の写真を組み合わせることにより、地球の両極における世界的気候変動によって引き起こされる影響を控えめに提示している。2013年、私は南極から北極圏まで、南北アメリカの17カ国を旅し、住居、人間の住処が厳しい風景にどう反応しそれを映し出すのか、また気候変動に対し、社会が文化的および物理的に適応する意味を記録した。この旅の中で私は、私の作品からの離脱であり、地球温暖化の影響に屈する有機的また無機的構造という馴染んだ対象でもある主題に惹きつけられていた。
建築写真家として、私は主に構築された環境、自然の景色と人工的な景色の関係、その共生、コントラスト、重複に個人的な作品をフォーカスさせた。私の写真の多くは家、住居、離郷、距離の克服、境界線を跨ぐ生活を探求している。私の写真のほとんどに人物は現れないが、人間が環境に残す痕跡について私の写真が多くを表現していることを願う。
北極と南極域の平均気温は、世界のその他の地域の二倍の速さで上昇している。気温の上昇は氷河塊からさらに多くの氷山を崩壊させている。両極の氷は薄くなり、溶けて決壊している。市街の一区画ほどの大きさの崩壊した氷は、漂いながらかつて無いスピードで消滅している。両極の近くでは、永年氷が溶けることにより、すでに動植物とそれらが生息する凍土への影響が出てきている。地球温暖化は、先住民たちの文化的アイデンティティを脅かしている。アラスカ最北の35kmに渡る海岸線に沿って、イヌピアト・エスキモーが何世紀にも渡って狩りをしてきたピクニックと呼ばれる古代の狩猟場がある。しかし、カリブーの巨大な群れの縮小、ホッキョククジラ、セイウチ、アザラシの捕食と移動パターンの変化により、生き残っていくための狩りがさらに困難になっている。
ハンターたちは大きな町へと移ってしまい、かつての住処だったキャビンは薄くなりつつある氷と変わりゆくツンドラの上に漂うがままに残されてしまった。イヌピアトの狩猟小屋は、南部に取り残された氷山を映し、変化するエコシステムの重圧の下の孤独な極地の建築である。それらは変化への、言葉も発せず動きもしない目撃者なのだ。
会期 2017年4月8日(土)〜 4月22日(土)
午後1時〜午後7時(会期中無休)
オープニングレセプション:4月8日(土)午後6時頃〜
アーティストトーク:午後6時30分時頃〜
尚、写真集「DRIFT」の販売及びサイン会が予定されています。詳
会場 Reminders Photography Strongholdギャラリー
東京都墨田区東向島2-38-5
入場料無料
※写真展の最新情報はFBページにてご確認下さい。
マグダ・ビールナット (1978年ポーランド生まれ、アメリカ人)
ポーランド生まれのマグダ・ビールナットは、ニューヨーク市在住。建築とインテリア専門の現代アートフォトグラファー。メトロポリス・マガジンの元フォトエディター。ベルリンとニューヨークのトランスアート・インスティテュートでMFAを取得。彼女の写真はニューヨーカー、ニューヨーク・タイムズ、ナショナル・ジオグラフィック、インテリア・デザイン、ウォールペーパー、メトロポリス、ドウェル&アファーなどのメディアで掲載された。作品は、ポーランド、ベルギー、フランス、カナダ、フィリピン、台湾、アメリカ合衆国など、国内外で展示されている。センター2016のディレクターズ・チョイス賞、レンズカルチャーの2015年度エマージング・タレント賞、TMC/コダックグラント、Lucie財団賞、マジェンタ財団フラッシュ・フォワードなどを授賞。ビールナットは、ボストンのロバート・クライン・ギャラリー、ニューヨーク市のクリック・ギャラリーに所属。
http://www.magdabiernat.com/
(日本語訳文責:奥山美由紀)
グラントについて
RPS に企画展を提案して頂き、 RPS 審査委員会の審査を通過された方に、RPS ギャラリースペースを5 日以上(最高20 日まで) 無償でご利用いただけます。 対象: 写真家、キュレーター、ギャラリスト、ほか。更なる詳細はこちら→ http: //reminders-project.org/rps /grantjp/