第21回RPSグラント受賞者:Tomasz Laczny

2019年12月に申し込みが締め切られた第21回Reminders Photography Strongholdグラントにて3名の受賞が決定しました。トマス・ラズニーのプロポーザル「Erna Helena Anja」デイヴィッド・スタインバーグのプロポーザル「Ouroboros」ハビエル・アルバレスのプロポーザル「PREDIO」です。
審査員は、アンドレイ・ポリカノフ、エリック・ブルーン、エメリン・ヤング、モニカ・アレンデ、ペギー・スー・アミソン、ステートン・ウィンターの6名です。

写真展の開催は2021年に予定しております。ぜひご期待ください。

©︎ Tomasz Laczny / Erna Helena Anja / the 21st RPS grantee

アイデンティ、家族、そして国を失ったあなたは誰なのだろう?

海外で何年も過ごした後、私は自分のルーツであるポーランドを探索したくなった。私にとってポーランドは子供時代、そしてそのほとんどを祖母の家で過ごした幸せな日々の記憶である。しかし、ポーランドは第二次世界大戦の辛い出来事と一体になった祖母の物語でもあり、今でもそれは暗い影を落としている。それは次世代へと受け継がれる遺産の一部でもある。

第二次大戦前、ドイツ人だった私の祖母はポーランドとドイツの国境に住んでいた。大戦の終わり近く、彼女はポーランド人男性と恋に落ちた。それは禁じられた恋だった。もしそれが知られたら、二人とも殺されるかもしれなかった。さらに祖母は妊娠したが、それを隠していた。

戦後、祖母はドイツ人収容所に投獄された。彼女は私の母を産んだが、その劣悪な状態のなか自ら育てることができず、人に託すほかなかった。重要な政治家たちの決定により、第二次大戦後にヨーロッパの国境は変えられ、ドイツ人のほとんどは追放された(歴史上最大の強制移民)。娘との再会の望みから、祖母はその土地への残留を決意したが、ポーランド国籍を得る必要があった。元ドイツ人としてのポーランドでの生活は大変厳しいものだった。祖母は罪悪と第二次大戦中にポーランドで起こったことの記憶の影の中で生きた。彼女の家族はすべて追放され、娘と再会できるまで長い年月が経った。

私の祖母の物語は、衝撃的な歴史上の出来事に直面したことによるアイデンティティ、家族、そして国の喪失についてのストーリーだ。戦後のナチズムの影の中、多くの人々と国がそれぞれのアイデンティティを見出す苦悩的状況を描いている。皮肉にも、祖母のストーリーは私自身のストーリーと類似するところがある。長年海外に住みながら、私は断絶と孤立、新しいアイデンティティを見出す苦しみを体験した。そしてほぼ3年間会っていない我が娘の不在の物語でもある。

©︎ Tomasz Laczny / Erna Helena Anja / the 21st RPS grantee

©︎ Tomasz Laczny / Erna Helena Anja / the 21st RPS grantee

©︎ Tomasz Laczny / Erna Helena Anja / the 21st RPS grantee

©︎ Tomasz Laczny / Erna Helena Anja / the 21st RPS grantee

©︎ Tomasz Laczny / Erna Helena Anja / the 21st RPS grantee

©︎ Tomasz Laczny / Erna Helena Anja / the 21st RPS grantee

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©︎ Tomasz Laczny / Erna Helena Anja / the 21st RPS grantee

©︎ Tomasz Laczny / Erna Helena Anja / the 21st RPS grantee

©︎ Tomasz Laczny / Erna Helena Anja / the 21st RPS grantee

©︎ Tomasz Laczny / Erna Helena Anja / the 21st RPS grantee

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©︎ Tomasz Laczny / Erna Helena Anja / the 21st RPS grantee

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©︎ Tomasz Laczny / Erna Helena Anja / the 21st RPS grantee

©︎ Tomasz Laczny / Erna Helena Anja / the 21st RPS grantee

プロフィール | トマス・ラズニー / Tomasz Laczny
ビジュアル・アーティスト、研究者、フォトグラファー、フォトブック作家。ポーランド生まれで、アート、デザイン、哲学を学ぶ。彼の作品はアイデンティティ、喪失、時間、記憶を中心に展開する。彼が出版した、西サハラの難民キャンプと紛争を題材とした写真集「40」は、2016年度のカッセル・ダミー・アワードにて特別賞を受賞。2冊目の写真集「Disappearance」は2018年度の同写真集アワードに入選。2019年にはGommaグラントにノミネート。Tomasz Lacznyはブックデザイナーおよび教育者としても活動している。ロンドン在住および活動中。

日本語翻訳:奥山美由紀