ナタリア・ドラチンスカヤ『BINOM』写真集ご注文受付開始！

03/09/2025

ナタリア・ドラチンスカヤ写真展「BINOM」（3/8-3/16）会場にて販売中！
現在、作家が来日し、手製本で制作を進めています。会場ではその場でお持ち帰りいただけますので、ぜひ展示会期中にお求めください！

©︎Natalia Drachinskaya / BINOM

ナタリア・ドラチンスカヤによるアーティストブック『BINOM』のご注文受付中！

2022年度のPHOTOBOOK AS OBJECTワークショップ参加後、RPSキュレーターの後藤由美とともに、およそ2年以上を費やして完成に至りました。

「BINOM」は、写真家ナタリア・ドラチンスカヤが、父の写真アーカイブを通じて国家の歴史と個人の物語を交差させた作品です。2001年9月、彼女の父が自ら命を絶ったことをきっかけに始まった本作は、父の隠された人生と、ソ連から現代ロシアへと続く国家の二重性を探求します。

ナタリアの父は、ソ連のKGBで暗号解読者として25年以上勤務し、政府通信を保護するアルゴリズムや暗号化システムの設計に従事していました。その職業は極秘で、家族にも話すことが禁じられていました。父の死後、彼が生きていた「二つの人生」が浮かび上がり、それが国家の二面性と重なることにナタリアは気づきます。一方では平和を唱えるプロパガンダ、もう一方では攻撃的な軍事行動。この二重性は、家族や個人の生活にも深く入り込んでいました。

本書では、父が遺した写真やスライド、家族のアルバム、文書の写し、さらにナタリア自身の写真を用いて、父の二重生活が視覚的に再構成されます。特に、家族の物語を通じて、国家が公式の歴史を書き換えたり操作したりする時代において、個人の歴史が真実を探る上で重要な役割を果たすことを示しています。

本書は、作家自身の手による製本が施され、この作品に深く根ざした限られた部数のみが制作される特別なアーティストブックです。

BINOM アーティストブック概要