鈴木麻弓エッセイ THE RESTORATION WILL ⑨ Restorationとは

Reminders Photography Stronghold Gallery、2017年度の企画展第一弾には鈴木麻弓写真展『The Restoration will』を開催いたします。鈴木麻弓は2016年度にRPSにて開催されたPhotobook As Objectワークショップで写真集プロジェクト『The Restoration will』に取り組みました。今回は東日本大震災から6年を経て、鈴木が写真家としてたどり着いた手製本の刊行およびその世界観をご覧頂く写真展になります。展示に先がけ、展示作家鈴木麻弓によるエッセイの連載を開始いたします。第九回目は「Restorationとは」です.

鈴木麻弓写真展「THE RESTORATION WILL」
日時:2017年3月4日(土)~2017年3月26日 (日)(※13:00~19:00、会期中無休、入場無料 )
◎◎オープニングレセプション、およびアーティストトーク:2017年3月11日(土)午後6時から
開催場所:Reminders Photography Stronghold Gallery
こちらの写真展は ご好評のうち上記日程を以って終了いたしました。

2017 Mayumi Suzuki / The Restoration Will

2017 Mayumi Suzuki / The Restoration Will

Restorationとは

タイトルにあるRestorationは、日本語に訳すと「復元」「元に戻す」という意味があります。父のレンズで死者の視点を探ってみたり、父の作品を復元したり、この作品の中で私は数々の復元を試みています。

Willは「意志」や未来を示す言葉です。誰の意志かと問われれば、私が復元しようと試みようとしている私の意志でありますが、一方で父の遺言、いわば「遺志」という意味も含まれます。津波に突然さらわれ一瞬にして命を落としたであろう両親は、最後に私にどんなメッセージを伝えたかったのでしょうか。その答えを探ることが、作品の根底となっています。父のレンズを通して撮影することは、私にとって死者との対話であり、亡くなった人たちに再会するための行為なのです。

写真展では会場の中心に、暗室を復元させました。かつて父と一緒にプリント作業をした思い出の場所です。幼稚園の頃から、父と一緒に暗室に入ることが大好きな子供でした。現像液の臭い、うっすらと浮かび上がってくる画像。6歳上の姉はまったく興味を示さなかったのに、私だけが写真という世界にどんどん引き込まれていったのも、なにかの運命だったのかもしれません。

暗室だけが残ったこと、ポートフォリオを誰かが拾って私の手元に戻って来たこと、父のレンズが残ったこと、そのレンズで撮ってみようと思いついたこと。全てが時間の流れの中に生きていて、しかるべきときに私に気づかせてくれ、この作品へと繋がっていきました。

鈴木麻弓

◎これまでのエッセイを読む
鈴木麻弓エッセイ THE RESTORATION WILL ① 父のレンズ
鈴木麻弓エッセイ THE RESTORATION WILL ② 青いポートフォリオ
鈴木麻弓エッセイ THE RESTORATION WILL ③ 青い波
鈴木麻弓エッセイ THE RESTORATION WILL ④ キャンドルを灯す夜
鈴木麻弓エッセイ THE RESTORATION WILL ⑤ 家族のスナップ写真
鈴木麻弓エッセイ THE RESTORATION WILL ⑥ 石巻の紙
鈴木麻弓エッセイ THE RESTORATION WILL ⑦ 地図とスナップ
鈴木麻弓エッセイ THE RESTORATION WILL ⑧ エディション87の意味