REMINDERS PHOTOBOOK REVIEW #4 Blind date

RPS図書室に所蔵されている写真集、いつも「新しいのが入りました!」とか「写真家の方から寄贈されました」とご紹介するのが精一杯でしたが、これから不定期で写真集図書室に集まっている写真集についてのレビューを更新していこうと思います。レビュアーも好みや視点が偏らない様に、数名の写真家、写真専門家がとりあげて行きます。不定期になりますが、今後の更新をお楽しみに!第四弾は写真家の八尋伸さんによるレビューとなります。

Blind date
By Mads Greve

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写真集Blind dateは薄暗がりの中、中年の男女が踊っている写真が表紙になっています。その写真はカップルなのか夫婦なのか、ダンスを踊る事が出来るということはそれなりの関係で、彼らがそういう社交場にいるという事が想像できます。でも両者の関係がどこかぎこちなくも見えます。

Blind date,とは、友人の紹介などを通じて、知らない相手とデートをする行為という意味です。Blind dateの作者Mads Greveは人生はBlind dateの様だと言っています。写真集では出会った人々、複雑に絡み合う手、不思議な光景などで構成され、作者の人生と人々の人生が同じ時間軸の線上で交差しているように見えます。そして生活の中の大事だと思われるもの、美しくないもの、不合理なものも写しとり、読めば読むほどそれぞれの写真にそれぞれのストーリーが見えてきそうです。常にカメラを持ち歩いていたMadsは自分の人生で出会ったものを写真に収め、それが記録として残りBlind dateというタイトルでMadsの人生が一つのストーリーとして構成されました。彼の写真が撮りためられ記録されていくという行程はある意味、彼自身が自分の人生を見つめなおすという事に繋がります。また、人がある場所へ向かうと何かが起こり、何かに出会う。何かというものはわからないが、私達は何かをする以上やはり何かに期待しているのです。

八尋伸(写真家)

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