アレッサンドロ・ペリーニ写真集「OPERATION OLYMPIAD」ご注文受付を終了しました。

アレッサンドロ・ペリーニ写真集「OPERATION OLYMPIAD」ご注文受付を終了しました。

今年の写真集制作ワークショップ参加者の一人、アレッサンドロ・ペリーニの写真集「OPERATION OLYMPIAD」、本日19日からご注文受付を開始いたします。こちらの本は印刷から製本まで写真家が1冊ずつ手作りする本になります。 この本は今年のUNSEEN DUMMY AWARDとThe Anamorphosis Prizeの最終選考対象作品となっています。

アレッサンドロ•ペリーニによるこの『Missing Games Project』は、東京が2020年に再びオリンピックの開催地に決まり脚光を浴びる中で、日本という国がオリンピックと関わってきた長く複雑な歴史を再考することを目的としています。 『Operation Olympiad』は、東京と日本が再び、国際的なスポーツイベントと国際紛争という二つの事象を同時に迎えようとしている状況を表そうとしているのです。

「日本のオリンピックの歴史」と言った場合、多くの人は、近代日本の歴史の転換点としても知られている「1964年東京オリンピック」のことを思い浮かべます。1940年に開催されるはずだった東京オリンピック、札幌オリンピックのことは今や、日本や他の国でも一般的な認識からは抜け落ちてしまっているように思います。

1940年のオリンピックは中止されたのにも関わらず、その準備の記録は完全な形で国際オリンピック委員会に保存されており、他のオリンピックの報告や誘致と同様に、オンラインでその情報を参照することができます。
1940年のオリンピックは、日本の皇系発祥から2600年となる記念の年に開催されることが意図されていたという状況もあり、結果として学術的な研究の対象ともなってきました。
この東京オリンピックの構想は、昭和初期 (昭和時代:1926-1989年)に端を発します。関東大震災による荒廃の後に、日本とその近代的な首都である東京が、米国、ドイツ、フランス、英国など他の大国と同様に国際的なイベントを行う力があることを世界に示すという野望の下に計画されたオリンピックだったのです。1920年代や1930年代初頭のオリンピックでは、日本人のアスリートが人 種的偏見と戦っていたこともあり、当時、日本でオリンピックを開催すること遠い夢のように思われていました。日本がこうした不利な状況を乗り越えるために行ったことの一つは、西洋スポーツの訓練を初等教育の体育の授業の中に取り入れることでした。また、「柔道の父」嘉納治五郎がその代表とされるように、日本はオリンピック・ムーブメントの中で積極的な役割を果たしていきました。そして1936年のオリンピック誘致では、東京はベルリンに僅差で破れます。この際、ローマも誘致を望んでいましたが、日本とイタリアの関係をさらに深めることを考慮し、ローマは誘致を延期しました。
明治、大正、そして昭和初期の日本は目覚ましい経済成長をとげた時代でした。 それは、西洋諸国に対して貿易や外交の門戸を開いたことをきっかけとし、その後の日中戦争、日露戦争、そして第一次世界大戦という国際戦争による利益も梃子として利用した繁栄でした。こうした世界観の変化は日本に西洋化と急速な技術の発展をもたらし、日本は西洋の「列強」をイメージして作り上げられた軍国主義と、積極的な植民地の拡大に突き進みました。このフォトブックで著者は、その日本がたどった状況をその発端から捉えようと試みています。

1940年に開催されるはずだった日本初のオリンピックは、日中間で激化した戦争が原因となり中止されました。それはしかし、1964年に意気揚々と現実のものとなったのです。「新幹線」と、明治天皇を祭神とする明治神宮のすぐ側に建てられた「国立競技場」は、その最も重要な証左です。
振り返ってみると、1940年東京オリンピックにおいて最も議論されるべき点は、軍国主義とスポーツの融合です。この作品の中では、この二つを平行して扱っています。このことを表す最も明らかな兆候は、オリンピック組織委員会があの悪名高い軍人、東条英機と山本五十六を頻繁に登場させている点にあり ます。このフォトブックの中で示されるように、軍事とスポーツの融合は一般大衆のレベルでも明らかでした。軍国主義の加熱は、はじめに東アジア間で戦争を勃発させ、その後、世界的にも知られることとなり多くの記録が残されたアジア•太平洋戦争にも及びました。これらの戦争は、今日になっても癒えぬ傷跡を残しています。

敗戦と都市の荒廃から20年と経たず、東京は1964年にオリンピックを開催しました。そしてこの1964年のイベントは、近代日本の歴史にとっても、オリンピック運動にとっても、ひとつの大きな契機となったと今では認識されています。このオリンピックは戦後の日本と、指導者としての戦争責任を免除された昭和天皇が、国際社会に再び受け入れられることを表象しました。

2020年に向う今、世界では再び軍国主義の脅威が高まり、安倍晋三の指揮に対しても国内、海外を問わず大きな注目が集まっています。2020年には、近代の東京の歴史は「東京2020 へリテッジゾーン」という形で記念されることになります。2020年東京オリンピックには、「バブル経済」の崩壊と、その後の「ロストジェネレーション」を経た日本という国家の命運を勢いづけることが期待されているのです。アレッサンドロ・ペリーニの『Missing Games Project』は、こうしたテーマへ注目を集めることを目的として製作されました。

日本語訳文責:田川基成(写真家)

写真集:Operation Olympiad
◎100ページ、ポスター3枚、インデックスイメージ、手紙2通、パンフレット1冊、ポストカード1葉
◎サイズ:180mm X 250mm 重さ600g
◎部数:39 (写真家による署名、エディションが入ります)
※40部制作したうちの一部は本プロジェクトの意図的に行方不明、故に39部。
他、AP: 5部、PP: 7部制作
◎21,340円 (消費税込、別途送料についてはこちらをご確認下さい)
◎プロジェクト・リサーチ・写真・印刷・製本:アレッサンドロ・ペリーニ
◎文章:アレッサンドロ・ペリーニ、オースティン・スミス
◎この本は2016年度にREMINDERS PHOTOGRAPHY STRONGHOLDで実施されたPHOTOBOOK AS OBJECTワークショップにおいてコンセプトの基礎を発展させ、講師後藤由美、ヤン・ラッセルの指導のもと制作されました。

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