Giovanni Coccoの写真集「MONIA」お取り扱いを終了しました。

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Giovanni Coccoの写真集「MONIA」ご注文賜ります

第十回RPSグラント受賞写真家のGiovanni Coccoが昨年計画したクラウドファンディングで作られた本が4/9から始まる展示と共に日本でも入手可能になりました。200部限定のうち、通常版15部(写真家による署名入り)、被写体MONIAの署名入り特別版10部のお取り扱いになります。
※現在は通常版のみございます。

◉写真集:MONIA(署名入り)
◉A4サイズ、40ページ
◉序文:Caterina Serra(作家、劇作家)グラフィックデザイナー:Filippo Nostri
価格:通常版3,200円
国内送料:500円

ご注文ご希望の方はメールかギャラリーにてお申し込み下さい。
ご注文時のメール件名に必ず、「MONIA 」注文希望とお書き下さい。
①お名前②住所(必ず〒番号を入れて下さい)③電話番号④Eメールアドレス⑤ギャラリーで受け取りを希望の方はお知らせ下さい。とくにない場合は発送扱いとさせて頂きます。
ご注文はstronghold@reminders-project.orgで受け付けます。


あなたは立ち上がり、息をこらしている。失ってしまうかもしれない何かに怯えながら、不安そうな目で探し続けている。
僕は近づく。そうすればあなたの探しているものが分かるかもしれない。子どもの頃から、僕はいつもそうやってきたのだから。

我が姉よ。あなたがそこにいる限り、僕は見つめ続ける。心の底に流れる感情、その潮の満ち引きを。
あなたは躊躇しながら、驚きながら、そこに触れることを止めはしない。あたかも初体験であるかの様に。そこを目指すことは到達したことよりも意義があるのだと、そこに触れることは触りたいだけの欲望とは違うのだと、そこに取り残される者達がいてもよいのだと、あなたは本能で感じとっているのかもしれない。
だからこそ光と水、そして影を愛するのだろう。あなたは近づこうとする。失われていくもの達に触れようとする。僕は見つめ続ける。あなたがまだそこに居ること、失われていないという現在を。僕はあなたに夢中だ。

六年前、私は静かにこの作品を撮り始めました。プロジェクトや物語としてどの様に仕上げるのかという考えもないまま、ただ写真を撮り始めたのです。これら写真は、姉と過ごした日々、そしてそれらを伝えたいという思いの結晶です。
姉は生まれながらの障がい者です。単純な身振りや手振り、長い沈黙などが行動の特徴です。俗世間から断絶された、孤独で狭い世界。しかしそれらは空虚な世界ではありません。そこには瞬間の連続によって時間の紡がれる空間の広がりが有り、現在は未来に依存していません。
彼女を撮影することは、その行動を知ること、そして研究することの連続です。そうすることにより、彼女がこの世や私に対して何を感じ、何を求めているのかを理解しようとしているのかもしれません。
私と彼女が関わることで出来上がったこれらの写真は、彼女がこの世と関わろうとする為の仕草や視線を見せる為だけのものとして完結することはないでしょう。
いつか彼女は私の人生の一部となり、私が彼女を観察し、愛する様に、彼女の人生にとっても私と過ごす日々はなくてはならないものとなります。
彼女の物語や人生が、この世で偶然にも深入りし合うことになってしまった人間同士の喜び、そして苦しみを伝えるきっかけになればと思っています。

写真家プロフィール
Giovanni Cocco
1973年生まれ。イタリア・スルモーナ出身。人類学的な見地から故郷であるアブルッツォ州を撮影していた若き日々を経て、社会的・環境的な報道写真の道へと転向していく。これまでにも数々の国際ニュース雑誌などで作品を発表している。2010年から2012年にかけてはVII Mentor Programに参加。姉や家族を6年以上にも渡り追い続けている長期的社会派写真プロジェクト”MONIA”を進行中。2011年、同プロジェクトでBurn Magazine・Magnum Foundationの主催するEmerging Photo Grantで二位に選ばれる。
http://www.giovannicocco.it/bio/
http://www.giovannicocco.it/home/

日本語文責:藤元敬二(写真家)

 

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